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Kate Bush "Hounds Of Love" ケイト・ブッシュ『愛のかたち』 [洋楽]

IMG_1581.jpg 最近、ジムやスーパーに行くと、私の大好きだったケイトの『神秘の丘(Running Up That Hill)』がヘビーローテーションでかかっていて、今時こんな曲がこんなにかかって不思議だなぁと思っていましたが、ふとYouTubeを見ていると、この曲がStranger Thingsとかいう番組で使われて、世界的にリバイバルヒットしている曲だと知りました。ちょっと嬉しくなって、色々なCD出して聞いたりして、調べているうちに、なんと2018年にはリマスターやそのボックスセットが発売されたとかも知り、今回はそのケイト・ブッシュの中でも一番好きな『愛のかたち(Hounds Of Love)』について書きたくなりました。
 実験的でちょっとぶっ飛んだ感のある前作『The Dreaming』から比べると、随分私たち一般人側に戻ってきてくださった感があるアルバムで、LP時代のA・B面によって題名が付けられていて、A面『Hounds Of Love』は、表題曲のHounds Of Loveを含め、独立したポップな曲でまとまっています。B面『The Ninth Wave』は一連の組曲の体をなした構成です。

『Hounds Of Love』
1)『神秘の丘』Running Up That Hill (A Deal With God)
 今ちまたでヘビーローテーションでかかっている曲です。私的にはとても女性っぽいアレンジに聞こえ、強い意志を持った女性が切々と歌う感じがあります。私的にはCome on, baby, come on, come on, angel, let's exchange the experience, Oh.のくだりのケイトの歌が一番ゾクゾクします。そのあともたくさんの女性たちの、登っていこうとする喘ぎ声のようなものがバックで聞こえてきて、比較的穏やかに終わっていきます。

2) 『愛のかたち(Hounds Of Love)』
 前曲の余韻を消し去るように、ドラムの強い打ち込があったかと思うと、"It's in the tree. It's coming!"と怯えた声が聞こえてきて、とてもエネルギッシュなこの曲が始まります。この歌も前曲に続き、とても意志の強い主人公の歌です。逃げてる感満載のアレンジですが、ケイトのシンセと二本のチェロとドラムとハウンドの声を模した女性のコーラスのみです。この曲、スピード感があって大好きです。逃げているんだけど捕まえられたいというような不思議な気持ちです。

3) 『大空(The Big Sky)』
 前曲に続き、とてもキャッチーな音楽ですが、たくさんの女声を中心に進んでいく中、ケイトが自由なソロを歌っていきます。最後は思いっきり叫ぶ中終わっていきます。

4) 『母親(Mother Stands For Confort)』
 続く曲はスローで内省的な曲になります。ケイトの声もとても優しいですが、どんどんガラスが割れる音が入っています。前面に聞こえてくる口笛風のシンセ、ベースギターも独特のカッコいい動きをします。バックに別にケイトが歌うのですが、メインを歌っているケイトとは人格が違っているかのようです。この『Hounds Of Love』サイドでは唯一シングルカットされていない曲だそうです。(って、この「シングル・カット」って言葉ももう化石化していますかね(^^;。)

5) 『クラウド・バスティング(Cloudbusting)』
 ストリングスのバックで進んでいく、比較的スローな曲です。後半はどんどん盛り上がっていき、どんどん前進していくイメージが強くなり、みんなでスローガンを掲げた行進を行っていく感じです。不思議な曲です。

『The Ninth Wave』
 CDの解説によると、9番目の波が一番大きくて、すべてを消し去る波なんだそうです。同時にすべてをリセットする絶対的な存在で、それを超えた後に希望があるのだそうです。

1) 『羊の夢(And Dream of Sheep)』
 ピアノだけの伴奏で、とても内省的で、どこか懐かしい思いを歌にした感じです。曲のあちこちに嵐の前触れを示すアナウンスが聞こえてきて、穏やかでありながらどこか不気味な組曲の始まりです。

2)『氷の下(Under Ice)』
 厳しい曲が続きます。たった一人でスケートをする主人公と、それを見ていて解説する人たちを、違うトラックに録音されたケイトが歌っていきます。警告する人の声も聞こえてきたりして、最後は氷の下に落ちてしまったのか、それとも氷の下の別の違った存在が自分だと思っているのか、歌詞的には少し背筋が寒い曲です。最後は低音弦の刻み音とシンセの音の上、It's Me...と叫びながら終わっていきます。最後は次の曲の最初'Wake Up!'の声まで続きます。

3) 『魔女(Waking the Witch)』
 前半は、ピアノの和音がゆっくりと響く中、たくさんの身内の人たちの「起きなさい」という優しい声が聞こえてきますが、テンポが急に速くなると、きつい声で訴えるように歌うケイトをバックに、閻魔様のような低い声の男の人と、助けを求めるケイト。民衆は彼女は有罪と叫び、ケイトは「黒い鳥を助けて」と叫び、波から離れなさいというヘリコプターからの警告がある中、曲はフェードアウトしていきます。曲と言うよりストーリーの一部のようです。

4)『ウォッチング・ユー・ウィザウト・ミー(Watching You Without Me)』
 気だるい曲が続きます。誰も私をわかってくれないと言い続けています。みんなは見えていると言っているのですが、そのうち切れ切れに先ほどの『魔女」の言い分も聞こえてくるうちに終わります。

5)『ジグ・オブ・ライフ(Jig Of Life)』
 続く曲はケルトの音楽です。この歌は曲としては大好きですが、歌詞が少し怖い。鏡の中にいる自分が自分を殺さないでくれ頼む。鏡の中の自分と鏡の前に座っている自分は違う時間に暮らしているようです。音楽自体はEd Sheeranも歌っているようなジグ(イギリスやアイルランドの民族音楽)で迫力のあるものです。I put this moment here.と二回答えるところで音楽は一度止まり、そこから男性のセリフが続きますが、音楽はどんどん盛り上がって休止します。

6)『こんにちは地球(Hello Earth)』
 前の曲から続いて、宇宙飛行士たちが宇宙から地球を見て会話をしてるところから始まります。そして荘厳なピアノの和音でこの曲は始まります。とても不思議な曲です。ゆっくりしたテンポの曲で、地球から空を見上げたり、上空から嵐が来ている様子を見ていたり。ケイトの歌も感動的ですが、途中、男性合唱が挿入されていて、それがとても宗教的かつ哲学的な響きがします。それ単体ならこれほどの思いはないのですが、ケイトの曲の中にあることで、それがずいぶん強く彩られます。壮大でドラマティックな仕上がり、私の一番好きな曲です。

7) 『朝もやの中で(The Morning Fog)』
 重かった前曲とうって変わって明るく軽快な曲です。バックでケイトの歌詞のない歌に乗り、少しけだるい感じでメインボーカルが進みます。『The Ninth Wave』で現れたモティーフがあちこちに現れながら終わっていきます。


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