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シュトラウス『こうもり』 2023.11.19 びわ湖ホール公演 [オペラ]

 朝7:15に出勤して退勤が20:00より早まることがない毎日、今日のオペラもほとんど気にできていませんでしたが、さて明日はオペラと思い、フライヤーを見てびっくり。凄い布陣。
fledermaus1.jpg 満を持して遅刻しないように家を出ました。席はいつもの大好きな場所。
 この公演の一番の見所は、舞台を明治の日本に移し、漫談風の解説付きで上演です。セリフは日本語で歌唱はドイツ語でした。舞台装置は畳が八枚を色々動かして作っていくという仕掛けでした。
 演出が野村萬斎なので、それはそれでよいし、とても面白かったのも事実ですが、この『こうもり』という喜歌劇のシャンペンの泡のようなイメージとどうしても結びつかないので、音楽がしっくりと入ってこない。美しい着物姿、明治風の洋服もきれいですが、なんせ音楽が入ってこない。もちろんポルカなどの踊りはないですし、ガラもありません。
 歌手的には、ファルケの大西宇宙さんがダントツに巧かったです。つやのある声で、歌唱に力みがない。なのに堂々とした歌いっぷりに魅せられました。前回の兵庫の『ドン・ジョヴァンニ』題名役から気に入っていましたが、今回はその思いがもう一つ奥に進みました。歌だけではなくセリフ回しもとても巧い。これからも続けて聴いていきたい歌手です。
 オルロフスキーの藤木大地さんは、折角の男前が顔白塗りで少し残念。でもセリフからファルセットで、安定感あるカウンターテナーパートが嬉しかったです。ただカウンターテナーはあまり強い声を出せないのか、オーケストラや共演者や合唱の声に埋もれてしまうことも多いので、少し気の毒でした。
 ロザリンデの森谷真理さん、あれだけ地声でセリフしゃべっての歌唱はしんどかったのではないかと思うのですが、よく伸びる柔らかい声がよかったです。チャールダッシュのソロもかっこ良かったし、なにせ演技が堂に入っていました。
 アルフレードの与儀巧さん、かなりアドリブも入れて、よく頑張られていました。歌もとてもよかったです。
 アデーレの幸田浩子さんは私には少し硬く響きました。声のコントラスト的に森谷さんとはよく取れているのですが、硬質な響きが聴いていて少し辛かったです。
 アイゼンシュタインの福井敬さんは、最初福井さんとは思えない歌唱だったのですが、それもそのはず、アイゼンシュタインは確かバリトンだったような。美しく響く中音域は、テノールで主役を張ってこられた彼の声とは違う感じで、とてもいいなぁと思いました。ただ大西さんと二人で歌うと、大西さんのつやのある若い声とは違うなぁと思ってしまいましたが。
fledermaus2.jpg 桂米團治さん、序曲前の講釈があまりに長いので、このまま演奏中もこれが続くのかと思いましたが、始まるとそうでもなく、うまく短く解説を入れられていくので、それは楽しかったです。
 しかし、演出的に、今日は面白かったですが、このように日本風に置き換えたものが続くと、シャンペンの泡からはほど遠い響きに聞こえ、退屈してしまうかもしれません。
 阪哲朗の指揮、びわ湖のオペラは初めてだと思いますが、しつこくブーイングする方がおられました。私はオケに対してはそこまでの耳も持ち合わせてないので、傍観していました。
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