SSブログ

1/31 ファン・ディエゴ・フローレス テノール・コンサート [オペラ]

 東日本大震災の年の5月、高いチケット代払って楽しみにしていたフローレス、キャンセルして来日せず、すごく嫌いになりました。このブログでも書いている通り。でも、時が経って、やっぱしフローレスの声は大好きで、Blu-rayやらCDやら買って聞いていました。それから何回か来日していたのですが、関西には来ることなく、聞きに行けずじまいでした。私も今年還暦、仕事もほぼほぼ休日出勤の代休も取らず生きて来たので、それなりに経済的にも大丈夫だし、2日間年休とって東京文化会館まで行って来ました。
  
florez1.JPG 前半はモーツァルトとロッシーニです。
 モーツァルトはなんかフローレスには勿体無い感じがしました。始まったばかりなので、私の方も気が十分に入っていなく、綺麗だなぁ程度で終わりました。Don Giovanniの“Il mio tesoro intanto”はよく知ってることもあって、喉の力の抜けているロングトーンは、流石だなぁと思って聞いていました。
 ロッシーニはたった1曲、Guillaume Tellの“Ne m’abandonne point, espoir de la vengeance!”だけでしたが、大きなアリアなのでとっても楽しめました。これは私の偏見なのか、彼の声はロッシーニがとても合う気がします。Blu-rayやらCDで聴き慣れているからかもしれません。特に後半、長い息で盛り上げていく様子は絶品でした。hi-Cも出てくるし、これぞフローレスと感じです。この曲だけで、東京まで来て良かったと思える内容でした。割れんばかりの拍手。
 本当ならカヴァティーナ=カバレッタ(この曲もそう呼ぶのかな)の間に拍手をするのは良くないのでしょうが、拍手は止まることなく、フローレスも指揮者も少し戸惑い加減。オケの人たちも楽器を構えたまま。案の定後半始まる前に、曲が最後まで終わるまで拍手はしないようにとのアナウンスがありました。でもロッシーニ音楽祭のビデオを観てても、大概の観客はそこで拍手してるんだけどなぁ。

 後半は私の大好きなヴェルディです。と言っても頻繁に聞くアリアではないですし、フローレスがヴェルディっという想いがあったので、最後までこのコンサートを決心するのを躊躇った理由でした。でも、いやいや、これが本当に良かったです。
 Rigolettoの“Questa o quella”は、ドレースデンでのダームラウとのビデオで見ていましたが、短くって、2部の演奏をする準備になるのかな。仮面舞踏会の“Ma se m’è forza perderti”を聴いて、フローレスのこのオペラ全曲を聴きたくなりました。フローレスももう50歳、テノール歌手のキャリアも後半になって来て、声もロッシーニより太くなってきています。これからはこの路線のフローレスを聴いて行きたいという気持ちになりました。マントヴァ公爵からリッカルドに変わるのに、曲間で役作りをしている姿がとても印象的でした。続くI due Foscariの“Dal più remoto esilio”くらいから、フローレスの歌唱があまりにもドラマティックになっていくので、どの曲もIl Trovatoreの“Di quella pira”かと思わせる感じがしました。カバレッタはフローレスだけに安心して聴ける内容でした。ヴェルディが生きていたら、ちょっと腹を立てるんじゃないかと思わせるヴァリアンテがありましたが、それも含めてとても美しく、大満足でした。Attilaの“O, dolore! Ed io vivea”もルイーザ・ミラーの“Quando le sere al placido”も、曲想もある程度似ているし、ヴェルディの旋律が美しいカンタービレで歌われて、後半激しく盛り上がって終わるたびに大拍手です。
 選ばれたヴェルディの曲は、中期までのどちらかというと軽い声用のアリアで、最初はフローレスの実力からして、ちょっと簡単な歌ではないのかなぁ、と思いましたが、その余裕をしっかりと歌の表情に活かせてくれていて、こうして選ばれている理由も納得がいきました。

florez2.JPEG アンコールはギター弾き語りでラテン・アメリカの歌です。オペラ歌う表情とは全く違い、デューナミクがより一層ついて、泣きも入る。本当に聞き入ってしまいました。“Cucurrucucu paloma”、胸に染み入りました。もうこれだけでも十分なのに、“Una furtiva lagrima”と、もう本当に最後だよと言わんばかりに“Granada”。大満足で帰りました。
https://youtu.be/Q7yfsNFoUvk?si=1yLuL_rGB4upjtSH
 本当に来て良かった。フローレス、もっとファンになりました。オペラ聴き出して、もちろん3大テノールも現役でいましたが、経済的に生で聞くことができませんでした。こうして生で聴いていける歌手の中で、僕の中では1番の歌手だと思っています。

florez3.JPEG ホール出たら、たくさんの人が出待ちしていたので、私も近くのホテルに帰るだけだし、いっしょに待って、近くでフローレスを見ることができました。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。