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中島みゆき 歌会 Vol.1 2023.3.29 大阪フェスティバル・ホール [日本の歌手]

IMG_3137s.JPEG 中島みゆきさんのコンサートに行ってきました。高校生からのファンだけど、実際コンサートに行けるようになったのは、1989年の『野ウサギのように』から。それからコンサートはすべて行ってて、夜会は2・3回抜けていると思います。前回2000年『結果オーライ』の大阪公演で、コロナのため、国からのお達し(だったそう)で、ちょうど私の回から公演中止。だから、実際にお会いできたのは2017年末の『夜会工場 Vol.2』以降初めて(2019年夜会『リトル・トーキョー』はいけませんでした)になります。
IMG_3136s.JPEG みゆきさんの齢や体力が心配だなぁと思っていましたが、それより今回の座席は初めての1階1列目で、大興奮してこの日を待っておりました。
 っと、少し前置きが長くなりました。ここからはネタバレ(ほとんど読まれていないブログですが...)になります。

 まず舞台に演奏する人たちが出てこられます。うわー、懐かしい。皆さんそれ相応にお歳を召されて、同じように歳を取った私も同窓会の気分です。そして待ちに待ったみゆきさんの登場。近い!オペラグラスなど全く要らない。肌がとっても綺麗、スタイルがいい。みゆきさんの年齢の女性にはとうてい見えません。衣装もカラフルで美しい。
 第1曲目は大好きな『はじめまして』。このうたはかつてコンサートの最初の曲として歌われたことがあったなぁと思いながら聞き始めると、ウォー、変わらぬ声。そっと押さえた高音の綺麗に抜ける音、シャウトしながら歌われる時の力強さ、私が最初に危惧していたことなど一瞬で吹き飛びました。今日は他のどの人も見ないで、みゆきさんだけを凝視して、そのお姿を目に焼き付ける覚悟での始まりです。
IMG_3135s.JPEG いつもの楽しいMCがあり、2曲目以降、少し聞き込んでいない歌が続きます。高校生からのファンとは言いながら、2007年『I Love You、答えてくれ』くらいからはあまり聞き込んでいなく、名前は知ってる、1・2度聴いたことがある、程度になってきます。その分、それまでの旧譜は止めどもなくリピートして聴いていくことになりましたが...。前半は『店の名はライフ』なんて、超古い歌の他はほぼほぼ新しい歌。『銀の龍の背に乗って』や『愛だけを残せ』はさすがに知っていますが、それ以外はあまり知らない。
 前半最後の『愛だけを残せ』が終わると、みゆきさんのたってのご希望で、ホールを全点灯して、舞台から客席の様子を10秒間ごらんになり、それからお便りコーナーがあって、20分の休憩。この20分の休憩時間は、もう還暦近い私らファンにとっては、トイレタイムに欠かせません。
 休憩時間の間に、色々な衣装が吊り下げられたバーが出てきて、5曲続きで夜会いいとこ取りメドレーです。夜会と言っても、基本13回目以降のものからで、『24時着...』から2曲とあと各1曲ずつ。『紅い河』は三度再演されたものからで、一回目から大好きだったので、本当に嬉しかったです。衣装もその夜会の回に合わせたもので、バックのホリゾントの装飾も、わりと大がかりに換えられました。やはり『紅い河』のアオザイが綺麗。
 それで今回一番刺さった『ひまわり"SUNWARD"』。この曲1曲だけでもブログ書けそうなくらいです。この曲は1994年『Love or nothing』に収録されていたもので、初めて聴いたときは、みゆきさんの反戦歌の一つと思う程度でしたが、今聴くと違う。ひまわりってウクライナを連想させる歌ですよね。自分の中の父の血と母の血のどちらかを選ばせるように、とはなんと凄い表現か。勿論、これは隣国で仲があまり芳しくはない場合、戦争をしていなくっても起こりうることで、日本も他人事ではないのでしょうが、やはりひまわりと戦争となると、ウクライナを思い出さずにはいられません。歌い終わった後も、兵士の行進を連想させるドラムの連打が続き、舞台は消灯しているけれど、みゆきさんは最後のポーズから動かない。みゆきさんの思いが伝わってきます。
 その次の『心音』が最後の曲になりますが、この曲もあまり聞き込んでなかったのですが、『空は信じられるか、風は信じられるか、味方だろうか悪意だろうか』や、現実の僕に「未来へ君だけで行け」と叫ぶ、とはなんという歌詞なんだろう。
 などなど思いながらアンコールに続くと、これも久しぶり、大好きな『野ウサギのように』。そして本当の最終の曲『地上の星』。泣く内容の曲ではなく、涙がボロボロと出てきました。これまでこんなに長い間この人の歌を聴いてきたんだ。この人の歌に励まされて生きてきたんだと。その人がこんな近くにいてくれて、昔からのミュージシャンたち、杉本さんや宮下さん、島村さん、それに瀬尾さん、最近仲間に加わられて現在闘病中(と伺っている)石田さんがおられて、自分も含めて歳を取って生きていく、それだけで嬉しくて、悲しいとこもあって、涙が出てしまいました。
 ありがとう、みゆきさん、という気持ちで、フェスティバルホールの紅いカーペットの敷かれた階段を降りていきました。
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びわ湖ホール『ばらの騎士』 2024年3月3日(日) [オペラ]

 楽しみにしていたびわ湖ホール、阪哲朗さん指揮『ばらの騎士』です。土曜が半ドンの仕事なので、土日公演の時は、歌手に関わりなく日曜にでかけてます。
 幕が開いて始まると、なんか、オケの音が揃ってなくって、あれあれという感じでした。シュトラウスのオペラのオケパートって、やっぱし難しいのかなぁ。ちょっとびっくりしてしまいました。
スキャン_20240303.jpg 1幕の舞台は、何か広い空間を持て余しているかのようなMarschallinの寝室のセットです。女性同士のラブシーンは思いの他ぎこちなく、歌にも何か感情移入がしづらかったです。しかし1幕は、歌手の方々、よくあれだけ難しそうな曲歌えるなぁと感心してしまいます。Baron Ochsの斉木健詞さんが入ってこられてから、少し流れが変わりましたが、それでも睡魔に襲われて目を開けているのがやっと。客が帰って、MarschallinとOctavianの二人になってから、音楽はしっとりした方向に変わっていき、内容もMarschallinの内省的な気持ちになっていき、やっと集中して聴けるようになりました。これもすべて、私の今までの『ばらの騎士』を聴く姿勢がなっていないから。2幕のばらの献呈の場と3幕の女声三重唱以降しか聴いてこなかったから、まったく音楽についていかない。やっとここになって好きなモティーフが出てきて、お話がつながってきたという感じでした。そうこうしているうちにMarschallinに感情移入してしまって、涙が出てぽろぽろ出てきました。
IMG_3086.JPG 2幕は大好きなばらの献呈があります。そこまで音楽もワクワクしたものですし、私もワクワク感がそそられます。やはりOctavianが登場するシーンはワクワク感もマックスです。今回はオケのtuttiの音が若干ずれたようで、少し残念でしたが、それでも、あぁ、と息が漏れてしまいます。ドタバタシーン、たくさん人が出てきて、凄いなぁ。Octavianの山際きみ佳さん、よくがんばってはりました。Sophieのお父さんもよく声を響かせて気持ちがいい。しかしやはりOchsの斉木さんが劇を回している感がひしひしと伝わってきます。ワルツもとっても洒落っ気たっぷりに演奏されていました(ってもともと楽譜からそうなのかなぁ)。幕の最後の斉木さんの低音のロングトーン、凄かったです。仰向けに寝転んで、しかもあの低い音をあれだけ長く。いやいや、1幕とはうって変わって、2幕はとっても面白かったです。一緒に行った友達二人とも2幕は面白かったと喜んでいました。
 さて、3幕の舞台は、田舎のレストランには見えない広い間取りでしたが、このホールの幅を全部使っちゃうとこんな間延びした感じになるのかぁ、とか思いながら前半のドタバタ劇を楽しみました。Octavianが男に戻って、Marschallinが登場して、Ochsが退場すると、もうここからは私の大好きな場所なので、本当に神経が研ぎ澄まされます。と同時に、もう3重唱が始まる前から涙がボロボロ出始めて、ほぼ幕切れまで涙々で、ハンカチはグシュグシュになってしまいました。歌手も大変だろうし、オケも難しいだろうし、長い息の音楽を堪能しました。思えば私、このオペラはやはりこのMarschallinが意を決して去って行く様が一番好きなんだなぁ。Marschallinが去る間際に後ろに手を差し出してOctavianのキスを促すシーンなど、涙なしには観られない。In Gottes Namen! 今年還暦を迎えて、私も今までの何かにしがみつかないように生きていかないと。その後、大好きな二重唱。まるで天国にいるかのよう。唯一のがっかりは、ソプラノの最後の音の音程が上がりきってないかのように聞こえたことくらいです。
 
 カーテンコールの順を見ていると、Sophie - Octavian - Ochs - Marschallinでしたが、舞台に出てる時間の長さから言うとOctavianとOchsがダントツですが、やはりこの劇はMarschallinのためのお話なんですね。私もこの役にボロボロ涙こぼした訳ですし。一緒に行ったうちの女性の友達は、Octavianはダメンズそのものやね、ってバッサリ。しかし、このGenderについて何やかやとうるさくなった今の社会では、この劇の扱いは厳しいんだろうなぁ。

 楽しませてもらった一日でした。
 
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