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ベルリーニ『ノルマ』 ボローニャ歌劇場・びわ湖ホール公演 2023年11月11日 [オペラ]

 久しぶりのボローニャ歌劇場引っ越し公演です。最近は日本の歌手の皆さんも聴き応えがあるので、わざわざ引っ越し公演もなぁとは思いましたが、イタリアのオペラ・ハウスの演奏は、日本では聴くことができないカラッとした響きが魅力的なので、ちょっと値段がお高いのですが、思い切って久しぶりに行くことにしました。
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 名前を知ってる歌手は、恥ずかしながらテノールのバルガスだけでした。ガンガンと歌うというより、丁寧に響かせて歌っている感じがしました。プロフィールを見るともう60を超えているそうですが、そうとは思わせない歌いぶりでした。アダルジーザの歌詞にある「凜々しいお姿にため息をつき、魅せられてしまいました」とはちょっと違う体型をされていましたが、それはそれはそれでご愛敬。
 ノルマを歌ったドットは、一幕では声が平板で、一生懸命響かせようとしているのか、少し無理があるのではないかと思う歌い方でした。初めて登場する場面もかなり強い声で歌われるので、少し驚いてしまいました。続くCasta Divaは、倍音で声が美し響いているというより、頑張って歌っている印象が強く、息の長い美しい旋律を楽しむことは私には少し難しかったです。2幕になると、声も随分でるようになってきたようで、安心して聴けるのですが、後半がヴェリズモのように激しい歌い方になっていき、聴いてる私も劇に引き込まれてはいくのですが、様式的にはどうなのかなぁと疑念を持ってしまいました。
 アダルジーザは日本人の脇園さんで、この人が一番巧かった気がします。テンポをうまく揺らしながら、無理のない声で歌い継がれていきます。かといって主役を喰ってしまうような歌ではありません。あまり配役を知らずに行ったので、最初はずっとイタリア人と思っていたほどでした。
 大好きな2幕始めのノルマとアダルジーザの二重唱は、前半が少し早いテンポで、もう少し二人の声を楽しませてもらいたいと思いました。後半のカヴァレッタ、省略もなくリピート部分が歌われたのですが、あの友情の歌の後ろで、3組の男たちが戦っている様子が描かれ、少し視覚的に邪魔だし、音楽にも合っていない演出に疑問がありました。
 オロヴェーゾのコンチェッティ、とてもよかったですが、2幕のソロで、会場はあまりノルマというオペラをよく知らなかったからなのか(勿論私もそれほどよく知りません)、拍手がまばらだったのが気の毒でした。
 さすがイタリアのオペラ劇場だなぁと思ったのが、テンポが揺れるてもたじろがないし、歌手もそれなりに揺らしてくるけど、しっかり指揮者が寄り添って伴奏をしてくれる。これってすごいなぁ。それにまるで歌舞伎かと思わせる見得を切る演奏も手慣れたものでした。だから聴いている方はわくわく感がありました。
 演出は細かくされているのですが、舞台装置がほぼなく、人だけが動くのですが、なにせ合唱が素晴らしいから、それだけでも楽しめました。ただ、火あぶりの刑とあれだけ繰り返されて言われるのに、結局ノルマがポルリオーネを短剣で刺して、すぐ後に自分も刺して自害するっていうのは、ちょっとどうかなぁと思ってしまいましたが、歌が中心だからこの際いいかなぁ。
 最後に、ノルマのストーリーは、少しついて行けない。勿論、オペラは「こんなことありへんわ」ってストーリーだらけなのですが、ジェンダー的にも、なんかサラッと、何これ?っていう言葉・行動がなされる。歌の旋律美がなければ、あまり感情移入しにくい内容だなぁと思いました。

 でもでも、やっぱし行って本当によかったです。
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