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ヴェルディ『アイーダ』終曲 [オペラ]

IMG_2262.jpeg 最近はあまり時間がなく、オペラの全曲を聴き通すだけの余裕がありません。それで考え出したのが、オペラの大好きな曲(重唱やコンチェルタートが中心)を聞き比べていくことでした。
 これで第二弾になりますが、今回はAïda終曲です。初めてこのオペラを聴いたときからこの終曲が好きで、私の葬式の時には流してもらいたいと思うほどでした。初めて聴いたのはKarajan, Tebaldi, Bergonzi, Simionato, Wiener Philharmoniker盤で、未だにこれが私のAïdaのベスト演奏ですが、その後、CDが安くなったこともあり、色々なAïdaを買い集めるだけ集めて、ほとんどまともに聴いてこなかったから、今回は目からうろこのいい演奏もたくさんでした。

 基本的に1960年代辺りのDeccaの録音は、Sonic Stageの音場の取り方が好きです。上記Karajan旧盤と、Solti指揮、Price, Vickers, Gorr, Opera di Roma盤は、どちらも最初は主役二人にスポットライトが当たっている感じなのですが、合唱やAmnerisが登場すると、スーッと二人の音が下に降りていき、残響があるような感じに、そこからAmnerisにスポットライトがあたり、その後方に合唱が聞こえるようになります。主役二人だけ多めにエコーが架けられ、下にいるという響き方をします。こうすることによって主役二人の天への旅立ちと、Amnerisの悲しみに焦点が当たる気がします。Karajan旧盤が最高と思っていましたが、Solti盤もとてもしめやかに終わっていく様子がとても気に入りました。と言ってもAmnerisの最後の祈りはSimionatoに尽きますが...。
 Karajan新盤、Muti盤、Abbado盤はどれも主役二人が常に前の真ん中にいて、Amnerisと合唱は上、もしくは奥から聞こえてくる感じで、あくまで主役二人に焦点があたっています。それはそれでよいのですが、最後はAmnerisと合唱だけになるので、最後まで奥まった音で終わっていく感じがあります。

 歌手的には、Aïdaは私的にはダントツにTebaldiです。こういった幾分硬派な役柄はTebaldiがとても合うと思っています。Freniは美しい声で本当に安定感のある歌唱ですが、Puccini的な可憐な主役のイメージがつきまといます。Caballéは優雅に聞こえすぎる感じがしますし、私は彼女の中音より低い声があまり好きではありません。Priceが太く強い声で、Tebaldiとはちょっと違うけど、とても巧いし、今回いいなぁと思いました。Ricciarelliは高音でsotto voceを使おうとするためか、ここでは少しヒステリックに響く感じがします。 
 RadamésはBergonziの滑らかで艶やかな声が好きですが、Carrerasの誠実で英雄らしき直情的な歌い回しがとても好感が持てます。DomingoはMuti盤では、録音の関係か、強音になるとオケとAïdaに声をかき消されてしまいます。Abbado盤ではとてもよく伸びる声に魅せられますが、少し声が甘すぎるのではないかなぁ。死を前にして少し悲壮感がない気もします。Vickersは、いくつかCD全曲盤を持っているのですが、あまり聴いておらず、声も聞き慣れない感じでした。他の歌手に比べると太くマッチョな声で、将軍によく会う声だなぁと思いました。
 AmnerisはSimionato の優しい追悼の気持ちが伝わる声が一番です。Gorrはなんか少し短い感じがするのはなぜでしょう。Cossottoはまだまだ勢力のある強い女性が垣間見られます。次の人を探そうとっていうことかなぁ…。Baltsaはデュエットに絡む部分がほぼ聞こえません。まるで天上にでもいるような音場の取り方はどうなんだろう。
 録音で言うと、私の持ってるCDででは、EMIの2つが、Volano al raggio dell’eterno dì.が響きすぎて割れる寸前なのがいただけません。(やっぱしEMIの録音は好きではない…。)

 こんな聴き方をしてみると、テンポの取り方、音場のあり方、アンサンブルの捉え方など、深まって行って面白いですし、好きなオペラの好きな箇所なので、飽きることなくじっくり聞けます。続けてアップしていきたいです。
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