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びわ湖ホール『ばらの騎士』 2024年3月3日(日) [オペラ]

 楽しみにしていたびわ湖ホール、阪哲朗さん指揮『ばらの騎士』です。土曜が半ドンの仕事なので、土日公演の時は、歌手に関わりなく日曜にでかけてます。
 幕が開いて始まると、なんか、オケの音が揃ってなくって、あれあれという感じでした。シュトラウスのオペラのオケパートって、やっぱし難しいのかなぁ。ちょっとびっくりしてしまいました。
スキャン_20240303.jpg 1幕の舞台は、何か広い空間を持て余しているかのようなMarschallinの寝室のセットです。女性同士のラブシーンは思いの他ぎこちなく、歌にも何か感情移入がしづらかったです。しかし1幕は、歌手の方々、よくあれだけ難しそうな曲歌えるなぁと感心してしまいます。Baron Ochsの斉木健詞さんが入ってこられてから、少し流れが変わりましたが、それでも睡魔に襲われて目を開けているのがやっと。客が帰って、MarschallinとOctavianの二人になってから、音楽はしっとりした方向に変わっていき、内容もMarschallinの内省的な気持ちになっていき、やっと集中して聴けるようになりました。これもすべて、私の今までの『ばらの騎士』を聴く姿勢がなっていないから。2幕のばらの献呈の場と3幕の女声三重唱以降しか聴いてこなかったから、まったく音楽についていかない。やっとここになって好きなモティーフが出てきて、お話がつながってきたという感じでした。そうこうしているうちにMarschallinに感情移入してしまって、涙が出てぽろぽろ出てきました。
IMG_3086.JPG 2幕は大好きなばらの献呈があります。そこまで音楽もワクワクしたものですし、私もワクワク感がそそられます。やはりOctavianが登場するシーンはワクワク感もマックスです。今回はオケのtuttiの音が若干ずれたようで、少し残念でしたが、それでも、あぁ、と息が漏れてしまいます。ドタバタシーン、たくさん人が出てきて、凄いなぁ。Octavianの山際きみ佳さん、よくがんばってはりました。Sophieのお父さんもよく声を響かせて気持ちがいい。しかしやはりOchsの斉木さんが劇を回している感がひしひしと伝わってきます。ワルツもとっても洒落っ気たっぷりに演奏されていました(ってもともと楽譜からそうなのかなぁ)。幕の最後の斉木さんの低音のロングトーン、凄かったです。仰向けに寝転んで、しかもあの低い音をあれだけ長く。いやいや、1幕とはうって変わって、2幕はとっても面白かったです。一緒に行った友達二人とも2幕は面白かったと喜んでいました。
 さて、3幕の舞台は、田舎のレストランには見えない広い間取りでしたが、このホールの幅を全部使っちゃうとこんな間延びした感じになるのかぁ、とか思いながら前半のドタバタ劇を楽しみました。Octavianが男に戻って、Marschallinが登場して、Ochsが退場すると、もうここからは私の大好きな場所なので、本当に神経が研ぎ澄まされます。と同時に、もう3重唱が始まる前から涙がボロボロ出始めて、ほぼ幕切れまで涙々で、ハンカチはグシュグシュになってしまいました。歌手も大変だろうし、オケも難しいだろうし、長い息の音楽を堪能しました。思えば私、このオペラはやはりこのMarschallinが意を決して去って行く様が一番好きなんだなぁ。Marschallinが去る間際に後ろに手を差し出してOctavianのキスを促すシーンなど、涙なしには観られない。In Gottes Namen! 今年還暦を迎えて、私も今までの何かにしがみつかないように生きていかないと。その後、大好きな二重唱。まるで天国にいるかのよう。唯一のがっかりは、ソプラノの最後の音の音程が上がりきってないかのように聞こえたことくらいです。
 
 カーテンコールの順を見ていると、Sophie - Octavian - Ochs - Marschallinでしたが、舞台に出てる時間の長さから言うとOctavianとOchsがダントツですが、やはりこの劇はMarschallinのためのお話なんですね。私もこの役にボロボロ涙こぼした訳ですし。一緒に行ったうちの女性の友達は、Octavianはダメンズそのものやね、ってバッサリ。しかし、このGenderについて何やかやとうるさくなった今の社会では、この劇の扱いは厳しいんだろうなぁ。

 楽しませてもらった一日でした。
 
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ヴェルディ: 歌劇『ナブッコ』 METライブビューイング  [オペラ]

 映画館でVerdiの"Nabucco"をMET Live Viewingで観てきました。だいたいこのLive Viewing、中途半端な時間にやってるから、働きに出ているとほぼ観られないし、これ一つで休みの日一日を潰さないといけないから、ほぼ観にいけません。明日がたまたま私としてはゆっくりした土曜日になるので、今日は出かけて観にいくことにしました。うちの町では今日から始まりました。比較的たくさんの方が来られていましたが、ほとんどが私かそれ以上の歳の人たちでした。

 歌手の名前を見て、以前Royal OperaのMacbethのビデオで観たことがあったAbigaille役のMonastyrskaだけでしたが、この『ナブッコ』は大好きな演目だから、少しワクワクしていました。
 演出は以前ビデオ化されていたPonsとGuleghina盤と同じもの(2002年の録画だからもう20年以上前の製作になる)で、Metらしいゴージャスなものでした。読み替えものではないので、観ていてストーんと入ってきます。神殿を燃やすシーンでは本物の火で焼いたり、ベルの神様(どんな神様かは知りませんが)にイナゴのような偶像を作ったり、合唱団も多いですし、衣装もとっても華やかです。アメリカの人たちって、合唱団の人に至るまで、本当に大きな人が多いなぁという印象を受けました。
 一番気に入った歌手は、題名役のGeorge Gagnidzeで、体つきからは想像できないような明るい声のバリトンで、本当によく響きますし、目力が強く、表情が本当にわかりやすい。生で聴いてみたいなぁと思う声でした。ジョージア出身の歌手で、英語のインタビューは少し辛そうでした。
 IsmaeleのSeokJong Baekも声が綺麗だし歌もとっても巧い。朗々と響かせる歌がなんとも気持ちがいい。この人も是非とも生で聴いてみたいです。韓国出身だと思うのですが、こうした素晴らしいテノールが出る国って羨ましいです。日本じゃこの声質のテノールは、なんかどこに行っても年輩の同じ人で、あまりうまく後進が育ってる気がしない。日本もどんどんこの声質の人を育てて、活躍の場を広げ、次々と輩出してもらいたいなぁと思いました。
 AbigailleのMonastyrskaは、ちょっと声でぐいぐい押してくる人なんで、この手の役柄では仕方ないのかもしれないけど、私としてはちょっと苦手な歌手かもしれません。この役やTurandot、Lady Macbethと言った役柄がこういう声を必要とするので、そういった役柄自体、私が好きではないのかもしれません。凄いなぁとは思うけど、CDで聴きたいとは思わないかも。このソプラノもビデオで観たGuleghinaもウクライナ出身だそうで、インタビューでも平和を祈る言葉を言われてました。
 FenenaのMaria Barakovaはロシア出身のメゾ。私には可もなく不可もないという感じです。主役級の人の中で唯一細い人という印象でした。ZaccariaのDmitry Belosselskiyは、ちょっといただけない。大きな人なのに声量がないし下が出ない。レガートで歌っている訳でもない。この人もウクライナ出身だそうです。
 しかし何をおいても合唱の素晴らしさ。この演目自体が合唱をよく使っているからかもしれませんが、それだけでワクワク感がありました。
 ナブッコって、あまり日本ではやらない気がします。コロナ禍が始まって、どんどん演奏会が中止になったとき、チケット買って楽しみにしていた海外引っ越し公演(確かパレルモだったかなぁ)も案の定中止になり、生で観てみたいなぁと思いながら帰ってきました。
https://youtu.be/pHNDnzM2HbU?si=Iu-nyJLrSnN0nvaJ
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1/31 ファン・ディエゴ・フローレス テノール・コンサート [オペラ]

 東日本大震災の年の5月、高いチケット代払って楽しみにしていたフローレス、キャンセルして来日せず、すごく嫌いになりました。このブログでも書いている通り。でも、時が経って、やっぱしフローレスの声は大好きで、Blu-rayやらCDやら買って聞いていました。それから何回か来日していたのですが、関西には来ることなく、聞きに行けずじまいでした。私も今年還暦、仕事もほぼほぼ休日出勤の代休も取らず生きて来たので、それなりに経済的にも大丈夫だし、2日間年休とって東京文化会館まで行って来ました。
  
florez1.JPG 前半はモーツァルトとロッシーニです。
 モーツァルトはなんかフローレスには勿体無い感じがしました。始まったばかりなので、私の方も気が十分に入っていなく、綺麗だなぁ程度で終わりました。Don Giovanniの“Il mio tesoro intanto”はよく知ってることもあって、喉の力の抜けているロングトーンは、流石だなぁと思って聞いていました。
 ロッシーニはたった1曲、Guillaume Tellの“Ne m’abandonne point, espoir de la vengeance!”だけでしたが、大きなアリアなのでとっても楽しめました。これは私の偏見なのか、彼の声はロッシーニがとても合う気がします。Blu-rayやらCDで聴き慣れているからかもしれません。特に後半、長い息で盛り上げていく様子は絶品でした。hi-Cも出てくるし、これぞフローレスと感じです。この曲だけで、東京まで来て良かったと思える内容でした。割れんばかりの拍手。
 本当ならカヴァティーナ=カバレッタ(この曲もそう呼ぶのかな)の間に拍手をするのは良くないのでしょうが、拍手は止まることなく、フローレスも指揮者も少し戸惑い加減。オケの人たちも楽器を構えたまま。案の定後半始まる前に、曲が最後まで終わるまで拍手はしないようにとのアナウンスがありました。でもロッシーニ音楽祭のビデオを観てても、大概の観客はそこで拍手してるんだけどなぁ。

 後半は私の大好きなヴェルディです。と言っても頻繁に聞くアリアではないですし、フローレスがヴェルディっという想いがあったので、最後までこのコンサートを決心するのを躊躇った理由でした。でも、いやいや、これが本当に良かったです。
 Rigolettoの“Questa o quella”は、ドレースデンでのダームラウとのビデオで見ていましたが、短くって、2部の演奏をする準備になるのかな。仮面舞踏会の“Ma se m’è forza perderti”を聴いて、フローレスのこのオペラ全曲を聴きたくなりました。フローレスももう50歳、テノール歌手のキャリアも後半になって来て、声もロッシーニより太くなってきています。これからはこの路線のフローレスを聴いて行きたいという気持ちになりました。マントヴァ公爵からリッカルドに変わるのに、曲間で役作りをしている姿がとても印象的でした。続くI due Foscariの“Dal più remoto esilio”くらいから、フローレスの歌唱があまりにもドラマティックになっていくので、どの曲もIl Trovatoreの“Di quella pira”かと思わせる感じがしました。カバレッタはフローレスだけに安心して聴ける内容でした。ヴェルディが生きていたら、ちょっと腹を立てるんじゃないかと思わせるヴァリアンテがありましたが、それも含めてとても美しく、大満足でした。Attilaの“O, dolore! Ed io vivea”もルイーザ・ミラーの“Quando le sere al placido”も、曲想もある程度似ているし、ヴェルディの旋律が美しいカンタービレで歌われて、後半激しく盛り上がって終わるたびに大拍手です。
 選ばれたヴェルディの曲は、中期までのどちらかというと軽い声用のアリアで、最初はフローレスの実力からして、ちょっと簡単な歌ではないのかなぁ、と思いましたが、その余裕をしっかりと歌の表情に活かせてくれていて、こうして選ばれている理由も納得がいきました。

florez2.JPEG アンコールはギター弾き語りでラテン・アメリカの歌です。オペラ歌う表情とは全く違い、デューナミクがより一層ついて、泣きも入る。本当に聞き入ってしまいました。“Cucurrucucu paloma”、胸に染み入りました。もうこれだけでも十分なのに、“Una furtiva lagrima”と、もう本当に最後だよと言わんばかりに“Granada”。大満足で帰りました。
https://youtu.be/Q7yfsNFoUvk?si=1yLuL_rGB4upjtSH
 本当に来て良かった。フローレス、もっとファンになりました。オペラ聴き出して、もちろん3大テノールも現役でいましたが、経済的に生で聞くことができませんでした。こうして生で聴いていける歌手の中で、僕の中では1番の歌手だと思っています。

florez3.JPEG ホール出たら、たくさんの人が出待ちしていたので、私も近くのホテルに帰るだけだし、いっしょに待って、近くでフローレスを見ることができました。
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マスネー『ウェルテル』への思い [オペラ]

 今日はクリスマス・イブ。最近暗いこの世の中も、クリスマス・イブの今日は、さすがに特設ケーキ売り場があちこち出てたり、ケンタッキー買って帰っていくお母さんがちらほらいたりして、ちょっと楽しそうです。独り者の私は、夕方、教会のミサには行きますが、さしてすることもなく、中華屋で定食でも食べようと思っているくらいです。
IMG_2335.jpeg 私もそれほど“明るい”クリスマスというわけではありませんが、もっと暗いクリスマスになる主人公がいるオペラのお話です。マスネーの『ウェルテル』。3幕にあるウェルテルのアリア "Pourquoi me reveiller" に惹かれて、ここ数週間ヘビーローテーションで聞いています。元々持っていたのはAlagna盤ですが、今回の熱でCarrerasとvon StadeのCDと、FlorezのBlu-rayを手に入れました。
 12月はとても忙しいので、前曲を聞く時間は到底持てませんが、今お気に入りのアリアがある3幕、それに続く4幕を仕事のBGMでかけて聞きました。BGMなんで、あんまり本腰を入れて聴いているわけではありませんが、それなりに感想を。

 なにせオケ伴奏が分厚くって悲劇悲劇しています。マスネーはフランス一のワグネリアーナーということですが、私にはプッチーニに近く感じるくらいです。二人とも『マノン』書いてるくらいだから、同じ時代の人なのでしょうが...。
 Alagnaはとても英雄ぽくって、しかも本当に強いだけの英雄ではなく、陰がある英雄ぶりがこの役にとても合うなぁと思います。私的にあまり高く評価できないGheorghiuの歌もとってもしっくり聞こえます。まだご夫婦だった頃の録音なのでしょうか。息も合っています。

https://youtu.be/EWvbaw4IS2U?si=9woN1BpU9YyiNdmx
 YouTube見て、このFlorezの歌は情感たっぷりで気に入って、映像のパッケージを探すと出てきたのがチューリッヒでの公演映像。舞台が狭く狭く設定してあって、ウェルテルの置かれた閉塞感は伝わってくるのですが、舞台としては少しなぁ。Florez、とっても巧いのですが、こんな歌手だったのかなぁと一息。Rossiniが凄かったけど、こんな重い歌を歌うのだなぁ。Sharlotte役が私にはもう一つで、もうウェルテル飽きてきたかなぁ。
 と思った矢先に届いたのがCarrerasとvon Stade盤。Carrerasのひたむきな歌に惹かれてしばし聴いてしまいました。von Stadeの素朴な歌い方もとてもあってる。もう一度これを中心に聴いてみたいと思っています。

 そもそも、Pourquoi me réveillerのアリア、どうしてこうもできがいいのかなぁ、と図書館でヴォーカルスコア借りて見てみると、歌と伴奏に少しずれがあるところが味噌なのかなぁ。
 歌い出しの旋律が、先にオケ伴奏に不安定な形で現れ、そのままアリアとなります。ほぼほぼハープのアルペジオの上で歌われていくのですが、山場となるところでオケ伴奏が先に旋律を奏でると、それを追っかけてテノールの旋律が就いていく、オケの強音のトゥッティの前にはテノールの旋律は先走ってAisのアクートとなってる。第2節は、それこそ歌い出しの旋律を先にオケが奏でてしまい、オケの対旋律に煽られながら、山場でまた第一節のようにテノールの旋律が追っかけて先走りのAisのアクートにオケの強音トゥッティ。伴奏とテノールのずれでうまく主人公の心の揺れを表しているのでしょうね。聴いているこちらの気持ちが煽られる煽られる。

 ということで私はクリスマス・イブのミサに出かけてきます。ウェルテルのようにピストル自殺は決していたしません。 
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シュトラウス『こうもり』 2023.11.19 びわ湖ホール公演 [オペラ]

 朝7:15に出勤して退勤が20:00より早まることがない毎日、今日のオペラもほとんど気にできていませんでしたが、さて明日はオペラと思い、フライヤーを見てびっくり。凄い布陣。
fledermaus1.jpg 満を持して遅刻しないように家を出ました。席はいつもの大好きな場所。
 この公演の一番の見所は、舞台を明治の日本に移し、漫談風の解説付きで上演です。セリフは日本語で歌唱はドイツ語でした。舞台装置は畳が八枚を色々動かして作っていくという仕掛けでした。
 演出が野村萬斎なので、それはそれでよいし、とても面白かったのも事実ですが、この『こうもり』という喜歌劇のシャンペンの泡のようなイメージとどうしても結びつかないので、音楽がしっくりと入ってこない。美しい着物姿、明治風の洋服もきれいですが、なんせ音楽が入ってこない。もちろんポルカなどの踊りはないですし、ガラもありません。
 歌手的には、ファルケの大西宇宙さんがダントツに巧かったです。つやのある声で、歌唱に力みがない。なのに堂々とした歌いっぷりに魅せられました。前回の兵庫の『ドン・ジョヴァンニ』題名役から気に入っていましたが、今回はその思いがもう一つ奥に進みました。歌だけではなくセリフ回しもとても巧い。これからも続けて聴いていきたい歌手です。
 オルロフスキーの藤木大地さんは、折角の男前が顔白塗りで少し残念。でもセリフからファルセットで、安定感あるカウンターテナーパートが嬉しかったです。ただカウンターテナーはあまり強い声を出せないのか、オーケストラや共演者や合唱の声に埋もれてしまうことも多いので、少し気の毒でした。
 ロザリンデの森谷真理さん、あれだけ地声でセリフしゃべっての歌唱はしんどかったのではないかと思うのですが、よく伸びる柔らかい声がよかったです。チャールダッシュのソロもかっこ良かったし、なにせ演技が堂に入っていました。
 アルフレードの与儀巧さん、かなりアドリブも入れて、よく頑張られていました。歌もとてもよかったです。
 アデーレの幸田浩子さんは私には少し硬く響きました。声のコントラスト的に森谷さんとはよく取れているのですが、硬質な響きが聴いていて少し辛かったです。
 アイゼンシュタインの福井敬さんは、最初福井さんとは思えない歌唱だったのですが、それもそのはず、アイゼンシュタインは確かバリトンだったような。美しく響く中音域は、テノールで主役を張ってこられた彼の声とは違う感じで、とてもいいなぁと思いました。ただ大西さんと二人で歌うと、大西さんのつやのある若い声とは違うなぁと思ってしまいましたが。
fledermaus2.jpg 桂米團治さん、序曲前の講釈があまりに長いので、このまま演奏中もこれが続くのかと思いましたが、始まるとそうでもなく、うまく短く解説を入れられていくので、それは楽しかったです。
 しかし、演出的に、今日は面白かったですが、このように日本風に置き換えたものが続くと、シャンペンの泡からはほど遠い響きに聞こえ、退屈してしまうかもしれません。
 阪哲朗の指揮、びわ湖のオペラは初めてだと思いますが、しつこくブーイングする方がおられました。私はオケに対してはそこまでの耳も持ち合わせてないので、傍観していました。
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ベルリーニ『ノルマ』 ボローニャ歌劇場・びわ湖ホール公演 2023年11月11日 [オペラ]

 久しぶりのボローニャ歌劇場引っ越し公演です。最近は日本の歌手の皆さんも聴き応えがあるので、わざわざ引っ越し公演もなぁとは思いましたが、イタリアのオペラ・ハウスの演奏は、日本では聴くことができないカラッとした響きが魅力的なので、ちょっと値段がお高いのですが、思い切って久しぶりに行くことにしました。
スキャン_20231113.jpg
 名前を知ってる歌手は、恥ずかしながらテノールのバルガスだけでした。ガンガンと歌うというより、丁寧に響かせて歌っている感じがしました。プロフィールを見るともう60を超えているそうですが、そうとは思わせない歌いぶりでした。アダルジーザの歌詞にある「凜々しいお姿にため息をつき、魅せられてしまいました」とはちょっと違う体型をされていましたが、それはそれはそれでご愛敬。
 ノルマを歌ったドットは、一幕では声が平板で、一生懸命響かせようとしているのか、少し無理があるのではないかと思う歌い方でした。初めて登場する場面もかなり強い声で歌われるので、少し驚いてしまいました。続くCasta Divaは、倍音で声が美し響いているというより、頑張って歌っている印象が強く、息の長い美しい旋律を楽しむことは私には少し難しかったです。2幕になると、声も随分でるようになってきたようで、安心して聴けるのですが、後半がヴェリズモのように激しい歌い方になっていき、聴いてる私も劇に引き込まれてはいくのですが、様式的にはどうなのかなぁと疑念を持ってしまいました。
 アダルジーザは日本人の脇園さんで、この人が一番巧かった気がします。テンポをうまく揺らしながら、無理のない声で歌い継がれていきます。かといって主役を喰ってしまうような歌ではありません。あまり配役を知らずに行ったので、最初はずっとイタリア人と思っていたほどでした。
 大好きな2幕始めのノルマとアダルジーザの二重唱は、前半が少し早いテンポで、もう少し二人の声を楽しませてもらいたいと思いました。後半のカヴァレッタ、省略もなくリピート部分が歌われたのですが、あの友情の歌の後ろで、3組の男たちが戦っている様子が描かれ、少し視覚的に邪魔だし、音楽にも合っていない演出に疑問がありました。
 オロヴェーゾのコンチェッティ、とてもよかったですが、2幕のソロで、会場はあまりノルマというオペラをよく知らなかったからなのか(勿論私もそれほどよく知りません)、拍手がまばらだったのが気の毒でした。
 さすがイタリアのオペラ劇場だなぁと思ったのが、テンポが揺れるてもたじろがないし、歌手もそれなりに揺らしてくるけど、しっかり指揮者が寄り添って伴奏をしてくれる。これってすごいなぁ。それにまるで歌舞伎かと思わせる見得を切る演奏も手慣れたものでした。だから聴いている方はわくわく感がありました。
 演出は細かくされているのですが、舞台装置がほぼなく、人だけが動くのですが、なにせ合唱が素晴らしいから、それだけでも楽しめました。ただ、火あぶりの刑とあれだけ繰り返されて言われるのに、結局ノルマがポルリオーネを短剣で刺して、すぐ後に自分も刺して自害するっていうのは、ちょっとどうかなぁと思ってしまいましたが、歌が中心だからこの際いいかなぁ。
 最後に、ノルマのストーリーは、少しついて行けない。勿論、オペラは「こんなことありへんわ」ってストーリーだらけなのですが、ジェンダー的にも、なんかサラッと、何これ?っていう言葉・行動がなされる。歌の旋律美がなければ、あまり感情移入しにくい内容だなぁと思いました。

 でもでも、やっぱし行って本当によかったです。
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ヴェルディ『アイーダ』終曲 [オペラ]

IMG_2262.jpeg 最近はあまり時間がなく、オペラの全曲を聴き通すだけの余裕がありません。それで考え出したのが、オペラの大好きな曲(重唱やコンチェルタートが中心)を聞き比べていくことでした。
 これで第二弾になりますが、今回はAïda終曲です。初めてこのオペラを聴いたときからこの終曲が好きで、私の葬式の時には流してもらいたいと思うほどでした。初めて聴いたのはKarajan, Tebaldi, Bergonzi, Simionato, Wiener Philharmoniker盤で、未だにこれが私のAïdaのベスト演奏ですが、その後、CDが安くなったこともあり、色々なAïdaを買い集めるだけ集めて、ほとんどまともに聴いてこなかったから、今回は目からうろこのいい演奏もたくさんでした。

 基本的に1960年代辺りのDeccaの録音は、Sonic Stageの音場の取り方が好きです。上記Karajan旧盤と、Solti指揮、Price, Vickers, Gorr, Opera di Roma盤は、どちらも最初は主役二人にスポットライトが当たっている感じなのですが、合唱やAmnerisが登場すると、スーッと二人の音が下に降りていき、残響があるような感じに、そこからAmnerisにスポットライトがあたり、その後方に合唱が聞こえるようになります。主役二人だけ多めにエコーが架けられ、下にいるという響き方をします。こうすることによって主役二人の天への旅立ちと、Amnerisの悲しみに焦点が当たる気がします。Karajan旧盤が最高と思っていましたが、Solti盤もとてもしめやかに終わっていく様子がとても気に入りました。と言ってもAmnerisの最後の祈りはSimionatoに尽きますが...。
 Karajan新盤、Muti盤、Abbado盤はどれも主役二人が常に前の真ん中にいて、Amnerisと合唱は上、もしくは奥から聞こえてくる感じで、あくまで主役二人に焦点があたっています。それはそれでよいのですが、最後はAmnerisと合唱だけになるので、最後まで奥まった音で終わっていく感じがあります。

 歌手的には、Aïdaは私的にはダントツにTebaldiです。こういった幾分硬派な役柄はTebaldiがとても合うと思っています。Freniは美しい声で本当に安定感のある歌唱ですが、Puccini的な可憐な主役のイメージがつきまといます。Caballéは優雅に聞こえすぎる感じがしますし、私は彼女の中音より低い声があまり好きではありません。Priceが太く強い声で、Tebaldiとはちょっと違うけど、とても巧いし、今回いいなぁと思いました。Ricciarelliは高音でsotto voceを使おうとするためか、ここでは少しヒステリックに響く感じがします。 
 RadamésはBergonziの滑らかで艶やかな声が好きですが、Carrerasの誠実で英雄らしき直情的な歌い回しがとても好感が持てます。DomingoはMuti盤では、録音の関係か、強音になるとオケとAïdaに声をかき消されてしまいます。Abbado盤ではとてもよく伸びる声に魅せられますが、少し声が甘すぎるのではないかなぁ。死を前にして少し悲壮感がない気もします。Vickersは、いくつかCD全曲盤を持っているのですが、あまり聴いておらず、声も聞き慣れない感じでした。他の歌手に比べると太くマッチョな声で、将軍によく会う声だなぁと思いました。
 AmnerisはSimionato の優しい追悼の気持ちが伝わる声が一番です。Gorrはなんか少し短い感じがするのはなぜでしょう。Cossottoはまだまだ勢力のある強い女性が垣間見られます。次の人を探そうとっていうことかなぁ…。Baltsaはデュエットに絡む部分がほぼ聞こえません。まるで天上にでもいるような音場の取り方はどうなんだろう。
 録音で言うと、私の持ってるCDででは、EMIの2つが、Volano al raggio dell’eterno dì.が響きすぎて割れる寸前なのがいただけません。(やっぱしEMIの録音は好きではない…。)

 こんな聴き方をしてみると、テンポの取り方、音場のあり方、アンサンブルの捉え方など、深まって行って面白いですし、好きなオペラの好きな箇所なので、飽きることなくじっくり聞けます。続けてアップしていきたいです。
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Renata Scotto 逝去 [オペラ]

 Renata Scottoが昨日2023.8.16に亡くなられた。89歳だったというから大往生と言える。とは言うものの、知っている人が亡くなられるのは悲しい。
 私がオペラを聞き出したのは1981年にスカラ座がKleiberやAbbadoと来日からだったが、その時はソプラノはFreniだった。Freniより1年早い1934年生まれなんで、Scottoも一番いいときだったと思う。
 私はFreniの方が好きだった。それもDGやDeccaの録音にFreniが多かったせいだと思うが、当時高価なレコード、Scottoまで買って聞く余裕はなかった。

scotto (1).JPEG Scottoで一番好きなのはMuti指揮でKrausと録音したLa Traviata。この曲を初めて聴いたのはこの録音で、この曲はこれで覚えたと言えると思う。キャリアの初めの方はコロラトゥーラだったと思うのだけど、あまり彼女の高音が好きではなかった。この録音はdrammaticoに移行してからのものなのだろうが、やはり「花から花へ」は少しきついと思った。でも「ああ、そはかの人」は、この人が最高だし、終幕最後の歌唱もこの人以外には考えられないくらい刷り込まれている。息継ぎの時の音が少し大きいのはご愛嬌か。
scotto (2).JPEG Luisa Miller。ここ10年くらい前からVerdiの有名でない路線の作品を聴くようになって、MaazelのDG盤は持っていたものの、映像で観たくなって買ったのがMetでDomingoと歌っているこの録画。古くって少し画像がよくないのだけど、これがまたいい。Scottoは本当に歌舞伎役者の様に見得を切って歌う姿に感動。凄い声だなぁ。見た目的にはアルプスの乙女というより、ひまわりおばさん風だけど、そんなこと全然気にならない。私的には彼女の一番の映像じゃないかと思う。
scotto (3).JPEG 最盛期を超えたのか、主役ではなくMusettaを歌うMetのこの録音も好き。元々CarrerasのRodolfoが観たくて買ったけど、Scottoの役者姿も凄い。確かMetで演出もやっていたのではないかなぁ。
scotto (4).JPEG 古いレコードでFreniとのデュエット集。このアルバムを買えるほど余裕があるわけではなかった私がこのCDを買ったのは、本当にここ数年のこと。もう売ってるのをみつけるのが難しいほど。かけてみると、凄いなぁ、二人の世界的なソプラノがよくこんなアルバムを作ったものだと思う。もう贅沢の極み。中でもNormaの二重唱は、美しすぎる。
scotto.jpeg Muti盤NabuccoのAbigailleも凄かった。この人、こんな風に歌っていていいんだろうかって言うほどの歌い方。この役、元々ソプラノ潰しって言うほどのものだって聴いてたけど、こんなに全身全霊で歌って、本当に凄い歌手だと思った。

 歳も取って経済的余裕もでき、CDもレコード時代では考えられなかったような安価に買えるようになり、Gilda, Norma, Tosca, Mimiとかも買ったけど、やはり上に挙げた録音・録画が私には一番だった。
 色々オペラの楽しさを教えてくださったRenata Scotto、主のみ元にあって、永遠の安息が与えられますように。


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『ドン・ジョヴァンニ』 佐渡裕指揮 兵庫県立芸術文化センター [オペラ]

 毎年恒例の芸文詣でに出かけてきました。もう歳も歳だし、老い先短いから贅沢してよいかなぁと、昨年から日本人セットと外人さんセットの両方を見に行くようになりました。

IMG_1945.jpeg 最初に観たのは開幕間もない日本人セットでした。題名役の大西宇宙さん、とても艶やかな声で堂々とした歌唱スタイル、とても気に入りました。ジョヴァンニが乗り移っているのか、本当に女たらし・男たらしの演技で、上半身裸になったり、レポレッロの平野和さんにキスしたり、娼婦や男娼を弄ぶ姿はそれなりのものでした。『詩人の恋』をCD化されていたので、早速買って聴いております。これからが楽しみです。高野百合絵さんのアンナと城宏憲さんのオッターヴィオのペアは、悲劇的でありながらも、力の抜けた声を響かせて歌っているのがとても好印象でした。特に城さんの2つのアリアは、余計な力が入っておらず、とても気持ちよかったです。池田香織さんのエルヴィーラは、最後のアリアが少しアジリタがヒヤヒヤするものでしたが、体当たり的な歌唱でした。
 外人さんのセットは、その日がその人たちの千穐楽で、とても盛り上がった感がありました。Heidi Stoberさんのエルヴィーラが私的に最高でした。歌が巧いのもさることながら、この役の悲劇的な部分を最大限に出されていて、終幕最後の6重唱など、涙が出そうでした。Joshua Hopkinsさんの題名役は、さすが主役だけあって、声がまず美しい。大西さんを観た後だったので、少し演技が平板かなぁという感じがありましたが、とても気に入りました。アンナとオッターヴィオのペアは、日本人の二人がとてもよかったので、ちょっと残念な気がしました。David Portilloさんのオッターヴィオは、もう最終日だったから、少し声に疲れが感じられましたし、Michelle Bradleyさんのアンナは少し歌い回しが荒いかなぁと思ってしまいました。始終声を張って歌われるので、少し聴き疲れもありました。

 昨年のボエームに比べると舞台が簡略化されていて、ボエームやその前のメリーウィドウのような、わぁ、と息を呑むような場面がないのは残念でしたが、舞台上で衣装を付けたたくさんの人たちが楽器を演奏されたりと、華やかさはありました。ただ、最後の地獄落ち、装置が舞台後方に引きずられて行き、そこで奈落落ちとなるのですが、一番オケが鳴っている時に舞台奥で歌われると、ほとんど声が聞こえず残念でした。
 席は両方ともラッキーなことに一列目で、佐渡さんの唸り声も堪能しました。モーツァルトは木管・金管楽器側より弦側に席があったほうがいいなぁ、と色々聞き比べ、見比べして楽しんできました。長く楽しみにしてきたオペラ、終わってしまって、来年の蝶々さんまで、また首を長くして待たねばなりません。

 今も『ドン・ジョヴァンニ』熱は冷めやらず、家にあるカラヤン盤をヘヴィーローテーションです。


https://youtu.be/4E76hRbSLf4
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『ラ・ボエーム』 佐渡裕芸術関東プロデュースオペラ2022 [オペラ]

 2022年度の兵庫県立芸術劇場の佐渡さんのオペラはボエームでした。これは2020年度公演予定だったのですが、当時のイタリアはコロナでたくさんの人たちが亡くなる中、プロダクションがほぼイタリアで作られるこの公演は、他のオペラもどんどん中止になる中で、自然な流れで中止となっていくものでした。それが今回の公演につながっているわけです。
 兵庫県立芸術劇場のオペラは、どちらかというとよく知られている作品がかかり、ほぼどの公演も満席御礼と言ったものです。それもひとえにわかりやすい演出と、豪華豪華な作りが理由だと思います。今回のボエームも始まる前から期待にあふれるものでした。

IMG_1582.jpg 第一幕はセーヌ川にあると思われる船の中が4人の部屋という感じです。ミミは同じアパートというより、その船の停まっている前の建物に住んでいて、家主は同じのようです。この演出だと、まるでミミが早くからロドルフォのことを知っていて、狙っているかのようです。発想としては面白いですが、ミミが病気で気を失うことが少し辻褄が合わなくなります。まっ、でもイタリアオペラですから、難しいこと抜きで行きましょう。
 第二幕のカフェ・モミュスの場は、これはこれは豪華。幕が開くとカフェの前で、これでもかという人たちが舞台にいます。子供たちも含め、密にならないのか心配になってしまうほどでした。後半はカフェの中となり、色々な人たちが細かく動き、クリスマスの楽しさを巧く表現しています。ムゼッタの人気ぶりもよくわかる演出です。最後、鼓笛隊が現れて通り過ぎていくシーン、子供たちも含めて本当にゴージャス。
 第三幕は雪の降る城門のシーン。悲しい音楽によく合う作りです。

 キャストは2セットありますが、私は今回どちらも見に行ってきました。
 日本人がメインのセットは、私が一番感銘を受けたのはマルチェッロの高田智宏さんでした。顔の表情が台本によく沿っていて、顔を見ているだけで歌詞の内容がわかってきそうなくらいです。声もとてもよく練られた美しい声でした。ロドルフォの笛田博昭さんもとても巧いのですが、声量が他の人よりあるので、アンサンブルの時に少し浮いて聞こえてくるのが少し残念でした。ミミの砂川涼子さんは、最初少し硬く響いて残念でしたが、幕を往ごとに伸びやかな声になってこられて、さすがだなぁと思いました。ムゼッタだけがソフィア・ムチェドリシュヴィリさんというジョージア出身の方で、さすがによく伸びた声で、しかもムゼッタという色女を体現しているかのような人でした。第二幕では砂川さんより滑らかかつ艶めかしい歌を聴かせてくださり、本当にラッキーでした。コルリーネの平野和さんは第四幕の外套の歌ですごく大きな存在感を発揮されていました。日本のバス・バリトンは、体のこともあってか、どうしても浅めで弱く聞こえてくる感じがするのですが、とても美しく歌われていて感銘を受けました。
 もう一つのセットで一番よかった歌手もやはりマルチェッロで、Gustavo Castilloさんというベネズエラ出身の方でした。美しい声で、演技も人より大袈裟目でわかりやすくしてくださっていました。ロドルフォのRiccardo della Sciuccaさんは、少し声量が少なく、テノールって声が出しにくいのかなぁってイメージの歌い方でしたが、要所要所しっかり押さえておられるのはさすがイタリア人だなぁ。女声は、やはりこれもムゼッタのEva Taczさんがよく、第二幕などはお色気たっぷりで、ここまでやっていいのかなぁというサービスぶりでした。ミミのFrancesca Manzoさんは、ミミの声の高さは全然びくともしない余裕たっぷりの歌いっぷりでした。第二幕はやはりミミよりムゼッタの方が独断場のようで、ムゼッタのお二人には堪能させていただきました。

 今年は、日本人セットの公演は、一番前の列(実際にはA列に人は入れず、B列からだったのでB列が実質一番前の列)で、しかも佐渡さんのすぐ後ろだったので、もちろん歌手の演技も堪能しましたが、佐渡さんの唸ったり一緒に歌ったりする声、呼吸をする音、また歌舞伎のように見得を切る時の指揮法など、本当に佐渡さんを心まで堪能させていただきました。オペラってこうしてできるのだなぁと実感できる公演でした。
 来年は『ドン・ジョヴァンニ』。今から楽しみです。

 唯一の不平は、毎年必ず買っているTシャツが買えなかったこと。毎日販売枚数が決まっているとかで、劇場に着いたころにはもうその日分は売り切れている。二回目に行ったときに聞いたら、午前中には売り切れているとのこと。二時から始まる公演に午前中に西宮に着いているだなんて、普通はできません。スタッフは全員嬉しそうにそのTシャツを着ているし、劇場のあちこちに「Tシャツ好評発売中」ってポスターが、公演二時間前には売り切れているのに貼られている。本当にこれだけは後味悪かったです。

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