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びわ湖ホール『ばらの騎士』 2024年3月3日(日) [オペラ]

 楽しみにしていたびわ湖ホール、阪哲朗さん指揮『ばらの騎士』です。土曜が半ドンの仕事なので、土日公演の時は、歌手に関わりなく日曜にでかけてます。
 幕が開いて始まると、なんか、オケの音が揃ってなくって、あれあれという感じでした。シュトラウスのオペラのオケパートって、やっぱし難しいのかなぁ。ちょっとびっくりしてしまいました。
スキャン_20240303.jpg 1幕の舞台は、何か広い空間を持て余しているかのようなMarschallinの寝室のセットです。女性同士のラブシーンは思いの他ぎこちなく、歌にも何か感情移入がしづらかったです。しかし1幕は、歌手の方々、よくあれだけ難しそうな曲歌えるなぁと感心してしまいます。Baron Ochsの斉木健詞さんが入ってこられてから、少し流れが変わりましたが、それでも睡魔に襲われて目を開けているのがやっと。客が帰って、MarschallinとOctavianの二人になってから、音楽はしっとりした方向に変わっていき、内容もMarschallinの内省的な気持ちになっていき、やっと集中して聴けるようになりました。これもすべて、私の今までの『ばらの騎士』を聴く姿勢がなっていないから。2幕のばらの献呈の場と3幕の女声三重唱以降しか聴いてこなかったから、まったく音楽についていかない。やっとここになって好きなモティーフが出てきて、お話がつながってきたという感じでした。そうこうしているうちにMarschallinに感情移入してしまって、涙が出てぽろぽろ出てきました。
IMG_3086.JPG 2幕は大好きなばらの献呈があります。そこまで音楽もワクワクしたものですし、私もワクワク感がそそられます。やはりOctavianが登場するシーンはワクワク感もマックスです。今回はオケのtuttiの音が若干ずれたようで、少し残念でしたが、それでも、あぁ、と息が漏れてしまいます。ドタバタシーン、たくさん人が出てきて、凄いなぁ。Octavianの山際きみ佳さん、よくがんばってはりました。Sophieのお父さんもよく声を響かせて気持ちがいい。しかしやはりOchsの斉木さんが劇を回している感がひしひしと伝わってきます。ワルツもとっても洒落っ気たっぷりに演奏されていました(ってもともと楽譜からそうなのかなぁ)。幕の最後の斉木さんの低音のロングトーン、凄かったです。仰向けに寝転んで、しかもあの低い音をあれだけ長く。いやいや、1幕とはうって変わって、2幕はとっても面白かったです。一緒に行った友達二人とも2幕は面白かったと喜んでいました。
 さて、3幕の舞台は、田舎のレストランには見えない広い間取りでしたが、このホールの幅を全部使っちゃうとこんな間延びした感じになるのかぁ、とか思いながら前半のドタバタ劇を楽しみました。Octavianが男に戻って、Marschallinが登場して、Ochsが退場すると、もうここからは私の大好きな場所なので、本当に神経が研ぎ澄まされます。と同時に、もう3重唱が始まる前から涙がボロボロ出始めて、ほぼ幕切れまで涙々で、ハンカチはグシュグシュになってしまいました。歌手も大変だろうし、オケも難しいだろうし、長い息の音楽を堪能しました。思えば私、このオペラはやはりこのMarschallinが意を決して去って行く様が一番好きなんだなぁ。Marschallinが去る間際に後ろに手を差し出してOctavianのキスを促すシーンなど、涙なしには観られない。In Gottes Namen! 今年還暦を迎えて、私も今までの何かにしがみつかないように生きていかないと。その後、大好きな二重唱。まるで天国にいるかのよう。唯一のがっかりは、ソプラノの最後の音の音程が上がりきってないかのように聞こえたことくらいです。
 
 カーテンコールの順を見ていると、Sophie - Octavian - Ochs - Marschallinでしたが、舞台に出てる時間の長さから言うとOctavianとOchsがダントツですが、やはりこの劇はMarschallinのためのお話なんですね。私もこの役にボロボロ涙こぼした訳ですし。一緒に行ったうちの女性の友達は、Octavianはダメンズそのものやね、ってバッサリ。しかし、このGenderについて何やかやとうるさくなった今の社会では、この劇の扱いは厳しいんだろうなぁ。

 楽しませてもらった一日でした。
 
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