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喜歌劇『こうもり』 佐渡裕指揮 兵庫県立芸術文化センター [オペラ]

m_fledermaus1.jpg 今年も西宮で佐渡さん指揮のオペラを観る季節になりました。私たちも今年で5年目。肩肘張らないオペラ上演で気楽ですし、今回はシャンパン気分のオペレッタですから、なおのこと楽しみに出かけました。
 今回もダブルキャストですが、今回はキャストを確認せずに日程だけで申し込んでしまいました。カウンターテナーのコヴァルスキーとざこば、剣幸の3人は共通ですが、私たちはロザリンデを佐々木典子、アデーレを小林沙羅、アイゼンシュタインを小森輝彦というセットの日で観ました。キャストをチェックして買っていたら、前回の椿姫での感動もさめやらない森麻季のアデーレ、塩田美奈子のロザリンデの方を絶対買っていたと思いますが、それも後の祭り(実際そちらのセットはかなり早く席が売り切れていました)。折角いい席を手に入れたのだからと、まだ聞いたことのない佐々木典子、小林沙羅がどんな歌手なのか楽しみに出かけることにしました。

 阪急西宮北口駅で特急を降りると、「こうもり」を観に行くとおぼしめきドレスアップした人達がせっせと歩いています。さすが宝塚の劇場体験に慣れた人達が多い場所柄、歩く姿に堂々としたゆとりさえ感じられます。
m_fledermaus2.jpg 席はステージ下手ブロック、真ん中の通路側の最前列でした。座ると、以前やった「メリー・ウィドウ」と同じように、オーケストラピットの前に渡り廊下風のステージがあり、少しワクワクした気分になりました。その通路の下側にある、オーケストラピットと客席の間の壁は、格子に布製のものが張ってある風のもので、音をとてもよく通しました。私はヴァイオリンの前辺りだったので、いつもなら少しバランスの弱い弦がよく聞こえてきてよかったです。

 まず演出から感想を述べさせてもらいますと、「メリー・ウィドウ」の時と同じでコテコテの関西風といった感じで、「吉本かい」とつっこみを入れたくなるようなものでした。「こうもり」は唯一ウィーン国立歌劇場でかかるオペレッタで、「メリー・ウィドウ」とは少し格が違うので、少し下世話過ぎる感じがありました。
 3幕を2部構成にしたのも、「メリーウィドウ」と同じだと思いますが、「こうもり」は2幕が華やかで、ドンチャン騒ぎがあるかと思えばストーリー展開に関わる重要な箇所もあり、途中で切ってしまうとその緊張感が切れるような気がしました。ポルカ「雷鳴と稲妻」は大好きですが、幕間の曲としての扱いより、パーティのガラ・パーフォーマンスとして踊りまくってもらった方が楽しかったと思います。本来なら2幕で明かされる「こうもり」の由来も序曲演奏時に字幕で出ていましたが、2幕を切ってしまうことでかなりのしわ寄せがあちこち出たのではないでしょうか。
 本編終了後のレビューは、「メリーウィドウ」の時は、劇中の有名な曲を落ち着いて聴かせてくれて嬉しかったですが、今回はウィーンに関する歌を使って、登場した歌手がそれぞれの声を聞かせるといった風情で、私は「メリーウィドウ」の時の方が豪華に聞こえました。
 張り出し舞台で合唱が歌ってくれるのは、一番前の席に座っている者としては至福の喜びでした。一人一人の声が本当に直接手に取るように聞こえてくるわけですから、迫力があって楽しかったです。
 総じて言うと、もうこの路線は今回まででいいかなぁという気がしました。

 歌手の人達はどの人も芸達者な人でした。とても楽しそうに演じていて、それだけでも楽しかったです。
 アデーレの小林さんは、とてもチャーミングな人で、役にとってもあった感じで、とても好印象でした(森さんならそんな風にはなってなかったかも...)。歌もとてもよくがんばっておられましたが、幕を追って荒くなっていく感じがあり、少し残念でした。特に3幕の早いパッセージがあるソロは、音程が少し不安定で、よく聴く曲だけに残念でした。
 ロザリンデの佐々木さんは、登場人物の中で一番日本語のことばがわかりにくく、佐々木さんの時だけ字幕を見なければなりませんでした。発声もこもったように聞こえてきて、最初は残念に思っていたのですが、2幕の懐中時計で口説かれるシーンで、私の真ん前の張り出し舞台に座って歌われ、直近で聞くと本当に美しい声で、そのとき以来、好感を持ってきくことができました。
 アイゼンシュタインの小森さんは、動きは楽しいのですが、声が顔の表情と同じでとても硬く、かなり重要な役だけに残念でした。
 オルロフスキーのコヴァルスキーさんは、やはりこの役はカウンターテナーでは少し違和感があり、日本語歌唱もわかりにくく、海外から来てもらった著名な歌手なのですが、少し浮いた感がぬぐえませんでした。折角だし日本人のズボン役でも良かったのではと思ってしまいます。
 ざこばさんは以前よりリラックスして、佐渡さんと漫才(?)をするくだりなどとても楽しかったです。また剣さんはアンコール時にマイクを通してですが歌われ、これもちょっと得した気分でした。

sadosign.jpg いつも通りTシャツを買って、佐渡さんのサインをもらいました。握手してもらって、いつも通り一緒に写真を撮ってもらいましたが、今年の佐渡さんはとてもお疲れの顔に写っていました。大丈夫かな。でもいつも通り、気に入った色はほとんど売り切れで、サイズもLは売り切れと、もう少し準備しておいて欲しいと思いました。明日再入荷しますだなんて書かれても、当日の私たちには意味がないですし。

 その後は京都に戻って、久しぶりに瓢樹でお食事。とても贅沢な一日でした。
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