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マリア・カラス スタジオ録音全集を買いました! [オペラ]

 パッケージ商品としてのCDを売るターゲット層はちょうど私たちの世代らしく、ネット販売のCDショップは数枚セットにすると安くなったりポイント倍増セールがあったりして、あの手この手で攻撃をかけてきます。私などはそのいいカモで、もうそれに引っかかってどれくらいの枚数のCDを買っていることでしょう。
 今回はマリア・カラスのスタジオ・セッション録音のCD69枚組が11,000円と、本当に魅力的な値段です。値段は魅力的ですが、枚数は天文学的です。1枚80分入っているとして、全部聞くのにいったいどれくらいかかることやら。でも「よし買うぞ!」と決心して購入。高校2年生の時にオペラのファンになってもう早30年近く、レコードでオペラ全曲盤を買うときは、本当に吟味して吟味して買って、どれもすり減るくらい聞いたものですが、そんな時代もどこ吹く風。
 マリア・カラスは、オペラ・レコード界では本当に大切な人で、出ている全曲盤はモノラールにもかかわらずほとんど批評家たちの絶賛を浴びています。でも私はあの声が苦手で、しかもモノラールなんて少し貧乏くさくって、カラスのセットは新しい方の「トスカ」と「ノルマ」、ヴェルディ・アリア集が数枚、ヴィスコンティ演出でバスティアニーニと競演してる「椿姫」伝説のスカラ座ライブ、「夢遊病の女」、「トロヴァトーレ」と、必要最小限しか持っていませんでした。だからダブるのも実は少ないのです。
 商品が到着して、いそいそと聞き始めました。勿論短気な私のことですから、ハイライト盤よろしく、アリアやデュエット、終幕の幕切れと、おいしいところのつまみ食いです。でも、あぁ、うまいなぁ。ルチーアなんかも高音が本当に良く出ているし、ノルマ旧盤や、椿姫のスタジオ録音と、どれも若くて瑞々しい声がとても好ましい。これから年取って時間ができれば、少しずつ楽しんで聞いていけるいい慰みものができた感じです。
 でも立て続けに聞いていると、やっぱしアクの強い声の歌手だけあって、食傷気味になってくるのも確かです。モノラール録音で録音状態もとても古いとなると、オーケストラや他の歌手とのバランスの悪さも疲れの原因となってきます。特にステレオ録音で、しかも声に勢いがなくなってきた頃に録音された「カルメン」を聞くと、胸声で凄みを出すのもいいけど、少ししんどい歌唱で、ニコライ・ゲッダの美しい声には改めて感激したものの、カラス自体はしばらく時間をおきたいかなって気持ちになってきました。
 考えてみると、ヴェルディやプッチーニのオペラ録音はどれもカラス盤が高く評価されていて、カラスは人間の感情とその変化の具合を本当にうまく描き出しているというのだけど、私にはその点がわからず、技術的に巧いことと劇的な表現が凄いことぐらいにしか感動できません。だからジルダや蝶々さん、ミミなんかの純粋路線のヒロインにはあまり声が合わない気がします。まっ、これから深く聞くチャンスはいくらでもありますから、頑張って聞いていきますが...。
 しかし場所を取るのが一番の問題かな。

https://youtu.be/Nk5KrlxePzI


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