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ヴェルディ『ドン・カルロ』 メトロポリタン・オペラ公演 愛知県芸術劇場大ホール [オペラ]

6月5日(日)、待ちに待ったメトロポリタンの「ドン・カルロ」を観てきました。キャンセル騒ぎについては別記事に書かせてもらうとして、当日の感想を書きます。

carlo1.jpg 入り口でとても立派なプログラムを下さるので、さすがメット、高いお金出しただけあるなぁと感心していましたら、ジャパン・アーツと中京テレビのささやかなお気持ちなんだそうです。メットじゃなくて日本側のプレゼントというところに日米の気遣いの違いを垣間見ます。

私の席は5階の後ろ。それでも32,000円も大枚をはたいて買った席です。舞台の奥までしっかり見えますし、音もそれなりにしっかりはっきり聞こえてきます。ただあまりにも歌手から遠いので、オペラグラスをもってしても、あまり歌手はよく見えるとはいえません。それに第一、同じ5階の私より前の座席の客が少しでも前屈みで観ようものなら、舞台はその人の頭しか見えなくなります。皆さん高額のチケットを買っただけあって、それにはものすごく腹が立っていたようで、直接前の人に文句を言ったり、後ろから肩を引っ張ったりして戻したりしている人がいました。

carlo2.jpg まず今回、清水の舞台から3度ほど飛び降りた気分でこのチケットを買おうと思った、しかも京都から新幹線に乗って行かないといけない名古屋の公演のチケットを買った理由は、まず「ドン・カルロ」には並々ならぬ思いを持っていることと、主役のうち5人も世界的なスターが出演するからでした。私の期待は、1番、ホロストフスキーを一度生で見てみたかった、2番、フリットリの美声をもう一度聞きたかった、3番、このところ売れまくっているカウフマンを一度聞いておきたかった、4番、日本ではあまりお目にかかれない立派なバスとしてパーペの歌唱を楽しみにしていた、の順でした。結果的には1番と4番が叶っただけでしたが、それだけでも今回は本当に納得して帰ってこられました。

幕があくとフォンテンブローの森で、さすがメットだなぁと思う舞台作りと合唱が嬉しかったです。メットはイタリア語5幕版を使うのだそうで、20年前に初めて買ったドミンゴとフレーニのドン・カルロも5幕イタリア語版でした。私が最初に聞いたのは、グラモフォンのスカラ-サンティーニ盤で、これも5幕イタリア語版(モデナ版)だったので、私は4幕イタリア語版よりこの方がずっと好きです。

主役で一番最初に登場、カウフマンの代役のリーは、音色にムラのある人で、高音のアクートは輝かしいのですが、それ以外の中音域の音や、聞かせどころではないところでは、ちょっとまだまだ荒いなーという印象でした。それと、カウフマンの代役としてガッカリさせたくないと思って下さっていたのか、1幕からかなり力が入っていて、このままじゃ中盤以降は大丈夫なのかなと思ってしまう出だしでした。実際5幕幕切れの二重唱は、もう柔らかい声が出なく、始終硬い声の歌唱が残念でした。

続いてフリットリの代役のポプラフスカヤが出てこられますが、この人、コヴェント・ガーデンでのドミンゴのシモンや、同じコヴェント・ガーデンでのヴィジャソンとのドン・カルロのDVDで知っていましたが、声量は凄いけど、歌い回しが少し荒く、上品な歌唱とは言えないなぁと思いました。もちろん世界の主要劇場の主役を張るプリマ・ドンナだけはある風格だし、DVDのアップは辛いけど、舞台で遠くから観ると、背がスラッと高く、とても舞台映えする人だと思いました。しかも、オペラ・グラスで観ていると、本当に演技派の歌手だなぁという印象を受けました。満足度は楽しみにしていたフリットリを上回ることはありませんでしたが、ヨーロッパの公演をキャンセルまでして来て下さって、この大役をここまでしっかり歌って下さったのだから、これ以上文句は持てません。特に5幕の大アリアをあれだけ立派に歌い切るのですから、拍手を送らざるをえません。幕切れの2重唱はリリカルなものだけに、少し彼女の歌唱の荒さが目につきましたが、これはその相手のリーの硬い歌唱にも原因があると思います。

 ホロストフスキーは、DVDで、コヴェント・ガーデンのルーナ伯爵とメットのオネーギンで見て以来、私は骨抜きになっていましたので、初めて登場するサン・フスト修道院が楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。初めて見るお姿は、DVDで観ていた時よりも大分老けた感じがしましたが、やはり貫禄のある人でした。ただ2幕1場の歌唱は、声量をかなりセーブしていたのか、もう一つのめり込む音楽ではありませんでした。しかもリーとの2重唱は、ちょっと癖のある歌い回しが耳につき、特に最後の辺りはリーと十分かみ合わず残念でした。ただ2幕2場からはエンジンがかかり始め、パーペとの2重唱や、勿論4幕のロドリーゴの死の場面など、本当にブラーヴォという感じです。この人がアンサンブルをきりりと引き締めるという感じでした。火刑の場での立ち姿もとても格好良く、歌っていない時の演技もしっかりやっているという人でした。幕が進むにつれて、この人、やっぱしルーナやオネーギンのように、ちょっと悪い配役の方が合うんじゃないかなぁと思いました。

ボロディナの代役グバノヴァのエボリはもうがっかりです。特にコロラトゥーラのパッセージが少しある「ヴェールの歌」は、音程もそこそこですし、もう一つ白けてしまいました。逢い引きの場の3重唱もホロストフスキーがいるから劇的に聞けましたし、ドラマティックな「むごい運命よ」は大丈夫かと不安でしたが、これもそこそこという感じでした。

carlo4.jpg それとパーペです。この人やっぱしすごいなぁと思いました。それはそれは存在感のある出で立ちで、顔も苦悩溢れる王という雰囲気を醸し出しています。ロドリーゴとの2重唱や「一人寂しく眠ろう」の凄いこと。ちょっと興奮してしまいました。大審問官がもう一つだったので、大審問官との二重唱は少しアンバランスでしたが、それでもパーペの存在を揺るがすものではありません。この二重唱は大好きな場面だけに、少し残念でしたが、元々の主役が3人もキャンセルした中、大審問官に立派な歌手を求めるのは酷かも知れません。なんせ生パーぺは本当に嬉しい体験でした。

しかしこれだけのキャンセル劇を出した公演で、予定を変えて来てくれたポプラフスカヤとリー、グバノヴァには感謝感謝です。特にポプラフスカヤは今回が日本デビューとかで、こんな形ではなく、十分に計画を整えてから来たかったことでしょうに、本当にありがとうという感じです。

私はあまりオケはわからない方なのですが、レヴァインの代役のルイージ、私の席からはまったく見えませんでしたが、あちこちに私が聞いている「ドン・カルロ」とは違う味付けがなされているところがあり、面白く聞きました。アーティキュレーションやアクセントの付け方でこんなに変わるんだなぁというのが実感です。ただ、5幕の幕切れは、無理矢理デクレッシェンドをかけないで欲しかった。とっても腰砕けで、ここまで長々聞いてきた壮大な終わりに似つかわしくないものだと思いました。

総じて演奏には満足して帰ってきました。さすがメットだなぁという実感で一杯でした。

ホールについて言うと、愛知県芸術劇場は初めて訪れたのですが、びわ湖ホールや兵庫県立芸術センターに慣れてしまうと、まったく前世紀の遺物みたいな構造で驚きました。まず階段の狭さに壁壁です。それと5階って、本当に階段で一生懸命上がらなくてはならず大変でした。客席も無駄な仕切りが多く、回り道を余儀なくされるところが多い多い。この構造、火事が起こったら上階席の人は焼け死ぬか、窒息死して下さいという感じです。それを思うとちょっと怖かったです。それにビュッフェの喧噪、客のではなく、売っている人達の喧噪です。市場の魚屋やあれへんで、高い金払ってオペラ観た後の休憩やのに、雰囲気つぶさんといてくれまっか、って感じです。それと退場する時、劇場の案内の人達が適切に案内しないのにもびっくりしました。すいているエスカレータに人を誘導すればいいのに、誰もいないフロアでボサーッとした係員が数人いるかと思うと、エスカレータの乗り口で耳元で挨拶をする係員。もう少し状況を見て動いて欲しいです。ってことで、どんなに魅力的なオペラが来ても、この会場には二度と足を運ばないことに決めました。

carlo5.jpg 4時間40分にわたる長い公演、最終の新幹線を心配しましたが、名古屋駅でひつまぶしを食べても十分時間があって、無事京都に帰宅しました。贅沢な一日でした。

続きにキャンセルについての思いを書きます。
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『ドン・カルロ』(イタリア語4幕版) パリ・オペラ・バスティーユ [オペラ]

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 パリ滞在4日目にバスティーユのオペラ座にヴェルディのドン・カルロを見に行きました。パリに行くことを決めたのも、その時期に観たいオペラがあるということが大きな理由だったので、航空券を取るや否やオペラ座のサイトでオンライン予約をしました。同じ価格帯でももうすでにいい席は埋まっている状態でしたが、しばらくディスプレイとにらめっこして、その席を決めました。
 ドン・カルロは元来パリ・オペラ座のために書かれた作品で、勿論パリ・オペラ座で初演されているのですから、当然そちらでの演奏家と思っていましたが、ヴェルディが後で書き換えたイタリア語4幕版でした。サン・フスト修道院で始まる4幕版はあまり好きではないのですが、よく考えるとフランス語五幕版は十数年前にシャトレ座でアラーニャをタイトル役にしたすばらしい公演があり、DVDでも観られるので、オペラ座としてはイタリア語4幕版を選んだのかもしれません。
 
指揮 Carlo RIZZI
  Don Carlo:  Stefano SECCO
 Elizabetta:  Sondra RADVANOSKY
 Rodrigo:   Ludovic TEZIER
 Filippo II:   Giacomo PRESTIA
 Eboli:     Luciana D'Intino
 Il Grande Inquisitore: Victor von HALEM

 歌手は残念ながらほとんど知らない人ばかりでしたが、本当に楽しく聴き通せました。
 男性陣から見ると、カルロ役のSeccoは小さな人でしたが、とても満足のいく歌でした。演出の関係か、身のこなしがなよくって、本当に頼りないダメ息子って感じでした。低音はどの人もいいなぁと思いました。まずロドリーゴのTezierは堂々としていて朗々とした歌唱がとってもよく、カルロとの重唱も品があって良かったです。フィリッポのPrestiaは力まかせに歌ってしまうのではなく、3幕のアリアにしても奥の深い歌が印象的でした。大審問官のvon Halemは、フィリッポとの対比もあって少し低めで硬質な声の人でしたが、高齢で目が見えなくなっているという程年を取っていそうにない声でした。
 女性陣ではエリザベッタのRadvanoskyは重唱も大アリアも立派にやってのけ、堂々とした品格のある女王を演じられていたと思いますが、問題はエボリのD'Intinoで、ヴェールの歌からすでにこもった発声に力任せの歌が気に入らず、大好きな3幕のアリアも表題通りfataleな感じがしました。

 だだっ広い舞台に物は何もなく、時折床が下がって十字架になったり、仕切りの壁が出てくる程度の抽象的な舞台が少し残念でした。衣装はそれなりのものでしたが、このオペラをまったく知らない私の連れには、話が何が何だかわからなかったようです。
 演出はほとんど動きのないもので、オラトリオかと思うようなものでしたが、1幕1場終わりの友情の二重唱の後に二人で十字を切って祈る(ロドリーゴは新教のフランドル地方に傾倒しているはず)シーンだとか、ヴェールの歌はサラセンの物語なのに、女官みんながまるでフラメンコを踊るがごとくカスタネットを腰で打つ仕草を続けるなど、文化的にステレオタイプ的でげっそりするところもありました。山場の異端火刑の場も、客席側が燃えていることになっているのか、舞台上の人がみんなこちらを凝視しているのも、少し安易な処置かなぁって思ってしまいました。ワーグナーのオペラや演奏会形式のオペラじゃないんだし、それなりにお金も払ったのだから、もう少し華やかさが欲しかったと思います。元々華やかオペラなんだしね...。

 なんやかんや書きましたが、歌の点で言って、こうして主役の6人の半分以上は満足のいく歌唱だったんだし、オーケストラ伴奏で普段オペラ観ることだなんて私にはあまりないことなので、とっても嬉しかった数時間でした。

 バスティーユで夜遅く(10:30終演)うろうろするの嫌だったから、ホテルに帰って、前の日にランスで買ってきたシャンペンを開けて飲みました。安いのにコクがあっておいしかったです。さすが本場シャンパーニュ地方で薦められたものだけあるなって感じでした。

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ペルトゥージ&レベカ デュオ・リサイタル 大阪ブリーゼ・ホール [オペラ]

pertsi.jpg バスのミケーレ・ペルトゥージとソプラノのマリーナ・レベカのデュオ・リサイタルに行ってきました。どちらの人も恥ずかしながらまったく知らなかった人なのですが、前回のシラグーザのブリーゼ公演で先行発売していたし、バスのリサイタルって初めてだったので興味本位で買っていたチケットでした。

 帰って調べてみると、ちょうど今年度始めに見たメトロポリタン・ライブ・ビューイングのフローレス、ドゥッセーの「夢遊病の娘」の伯爵役に出ていた人だとわかり、ちょっと楽しみにしていました。っで、出かけていってブリーゼで売られているCDやDVDを眺めていると、シャイーのヴェルディ・ディスカヴァリー、エヴァ・メイ主役のマスネ「タイース」の相手役、バルトーリ主役のロッシーニ「チェネレントラ」にも出ていて、どれも持っているやつだったので驚いてしまいました。

 さすがに世界の檜舞台に立っている人だけあって、立ち振る舞いは堂に入っているし、もちろんビロードのような声も圧巻でした。ただバスのアリアはいずれも地味目なものが多く、ジョイントで歌うデビュー2年目の新人ソプラノのレベカの華やかなアリアに押され気味でした。「愛の妙薬」や「ルクレツィア・ボルジア」の二重唱は、本当によく響く声で歌ってくれて、さすがだなぁと思いましたし、「陰口はそよ風のように」にいたっては、みんながよく知っている曲なので、割れんばかりの拍手でした。

 サイン会で一緒に写真撮ってもらったり握手してもらったりしましたが、本当に大きな人で、しかも甘い笑顔で最高の声で、あの人にかかれば女性はいちころだろうなぁと思ってしまいました。本当に優しい人でした。

 レベカはさすがに若い張りのある声を聴かせます。歌い回しも洒落ているし、本当に素晴らしい。でも一本調子になりがちなので、もうちょっと経験を積んで大ソプラノになって欲しいです。体調が悪いとかで、ヴィオレッタの「そはかの人~花から花へ」が「O Mio Babbino Caro」に変えられたのは、本当にショックでした。(でも他の曲はバンバン鳴らしていたから、どこが体調不良なのか不思議でした。)

いつもならが今日も胸をいっぱいにして帰ってきたコンサートでした。

https://youtu.be/0UenutTMRbU
↑Eva Mei, Michele Pertusi:マスネ「タイース」終幕
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マリア・カラス スタジオ録音全集を買いました! [オペラ]

 パッケージ商品としてのCDを売るターゲット層はちょうど私たちの世代らしく、ネット販売のCDショップは数枚セットにすると安くなったりポイント倍増セールがあったりして、あの手この手で攻撃をかけてきます。私などはそのいいカモで、もうそれに引っかかってどれくらいの枚数のCDを買っていることでしょう。
 今回はマリア・カラスのスタジオ・セッション録音のCD69枚組が11,000円と、本当に魅力的な値段です。値段は魅力的ですが、枚数は天文学的です。1枚80分入っているとして、全部聞くのにいったいどれくらいかかることやら。でも「よし買うぞ!」と決心して購入。高校2年生の時にオペラのファンになってもう早30年近く、レコードでオペラ全曲盤を買うときは、本当に吟味して吟味して買って、どれもすり減るくらい聞いたものですが、そんな時代もどこ吹く風。
 マリア・カラスは、オペラ・レコード界では本当に大切な人で、出ている全曲盤はモノラールにもかかわらずほとんど批評家たちの絶賛を浴びています。でも私はあの声が苦手で、しかもモノラールなんて少し貧乏くさくって、カラスのセットは新しい方の「トスカ」と「ノルマ」、ヴェルディ・アリア集が数枚、ヴィスコンティ演出でバスティアニーニと競演してる「椿姫」伝説のスカラ座ライブ、「夢遊病の女」、「トロヴァトーレ」と、必要最小限しか持っていませんでした。だからダブるのも実は少ないのです。
 商品が到着して、いそいそと聞き始めました。勿論短気な私のことですから、ハイライト盤よろしく、アリアやデュエット、終幕の幕切れと、おいしいところのつまみ食いです。でも、あぁ、うまいなぁ。ルチーアなんかも高音が本当に良く出ているし、ノルマ旧盤や、椿姫のスタジオ録音と、どれも若くて瑞々しい声がとても好ましい。これから年取って時間ができれば、少しずつ楽しんで聞いていけるいい慰みものができた感じです。
 でも立て続けに聞いていると、やっぱしアクの強い声の歌手だけあって、食傷気味になってくるのも確かです。モノラール録音で録音状態もとても古いとなると、オーケストラや他の歌手とのバランスの悪さも疲れの原因となってきます。特にステレオ録音で、しかも声に勢いがなくなってきた頃に録音された「カルメン」を聞くと、胸声で凄みを出すのもいいけど、少ししんどい歌唱で、ニコライ・ゲッダの美しい声には改めて感激したものの、カラス自体はしばらく時間をおきたいかなって気持ちになってきました。
 考えてみると、ヴェルディやプッチーニのオペラ録音はどれもカラス盤が高く評価されていて、カラスは人間の感情とその変化の具合を本当にうまく描き出しているというのだけど、私にはその点がわからず、技術的に巧いことと劇的な表現が凄いことぐらいにしか感動できません。だからジルダや蝶々さん、ミミなんかの純粋路線のヒロインにはあまり声が合わない気がします。まっ、これから深く聞くチャンスはいくらでもありますから、頑張って聞いていきますが...。
 しかし場所を取るのが一番の問題かな。

https://youtu.be/Nk5KrlxePzI


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バルバラ・フリットリ ヴェルディ・アリア集 Barbara Frittoli [オペラ]

 2001年に出たフリットリのアルバムを買いました。当時、まだ梅田・堂島にあったワルツ堂で、1500円位で山積みして売られていたのですが、アリア集を買う習慣がなかったので買ってませんでした。2006年3月にパリ・バスティーユのオペラでデズデーモナを聞いて、これぞベルカントという声に感動し、このアルバムを買おうとしましたが、ずっと品切れ状態で買えませんでした。それをなんとか今回手に入れることができて喜んでいます。
 椿姫の「ああ、そはかの人~花から花へ」で始まりますが、うーっ、のっけから感動。やっぱしこの人の声はとってもきれい。あまり響きにムラがなく、アメリカ人ソプラノのような人工的な声の演出はありません。とっても気持ちいい。他にもトロヴァトーレの大きなアリアが2つ、それにドン・カルロの大アリアも堂々と歌ってのけているし、同時にシモンの朝の海辺の美しいアリアも、とてもすがすがしく純粋に歌っている。あぁ、買ってよかった...。
 ルイーザ・ミラーと椿姫の管弦楽がそれぞれ1曲ずつ挿入され、約80分はお得。でもルイーザ・ミラーからの1曲を除いては他の歌手の合いの手が入らないので、そういう箇所を省略する強引な編曲がなされていて、少しびっくりしてしまいました。

 今となったら北京・紫禁城でのトゥーランドットのリューやブッセートのヴェルディ劇場でのムーティのファルスタッフのアリーチェ、ドミンゴと競演したスカラのオテッロのデズデーモナと、フリットリも映像で観られるようになりましたが、こうして音だけ取り出して耳を研ぎ澄まして聞くのもいいなぁと思いました。
https://youtu.be/Agks7aFynv0

タグ:ソプラノ
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第13番札所 石山寺 ご本尊ご開帳 [西国33観音霊場巡礼]

ishiyam.jpg この連休、どうせ車は混み合うんだろうなぁと思いつつ、やっぱしどこかに出かけたいので、近場で、しかもご本尊のご開帳をやっている石山寺に行くことにした。石山寺ならお昼はしじみ飯も食べられるし、ちょっっとした遠足になるなぁと思って出かけました。
 案の定道は混み混み。地道で行ったのですが、大津付近は高速から逃げてきた車でまた混雑していて、逢坂山あたりから瀬田川沿いまで、逃げ道のほとんどない大津市内を少しイライラ気味でドライブしました。
 石山寺の駐車場に入ると、本尊開帳ということで、左の写真のファイルがもらえました。これはとても嬉しい!朝早いのに、駐車場は既に車で一杯でしたが、ちょっと嬉しいプレゼントでした。
ishiyama2.jpg 三門を入って塔頭の入り口を進んでいく参道はもう秋が一杯で、彼岸花も美しく咲いていました。この寺は山に造ってあるだけあって、一緒に行った母親には階段が少し厳しいようでしたが、一つ一つお堂を回って拝んでいきました。
 奇岩が並ぶ境内を通り本堂に上ると、いよいよご本尊の如意輪観世音菩薩との遭遇です。本堂の内陣は別料金で500円払いましたが、ここはこれが目的だからケチ言ってられません。そしてご本尊。あぁ、本当にきれい。本当に目の前におられて、しばし息を呑みます。なんと優しい表情をされているんだろう。このお方なら救って頂けるときっと思うだろうなぁ。しかもここは奇岩の上に建てられていて、その奇岩のてっぺんに座っておられる。片足を組んでおられるお姿も凛々しい。しばらく真ん前に陣取って拝見させていただきました。
ishiyama3.jpg その後は奇岩の上に建つ多宝塔へと向かいます。そこまで上ると反対側には瀬田川から琵琶湖が望めます。美しい。
 じっくり境内を回って、お昼はしじみご飯です。色はそれなりに濃いのだけれど、味はそれ程濃くなくておいしい。なんか得することが多い一日でした。
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イル・ディーヴォ(Il Divo) 大阪公演 [洋楽]

3157582.jpg 友人にぞっこんのファンがいて、どうしても行きたいって言うもんだからお供してきました。結果的にはとっても楽しかったです。
 大阪城ホールに入ると、まず舞台が遠い(スタンド席は前半分は使用不可となっている)し、なんせ舞台が階段に薄い白布をかけてあるだけで安もんくさいし、あぁどうなるの、って感じです。でもさあ始まってみると、この4人、本当に存在感のある人で、この人たちがいるだけで舞台が豪華に見えるのはとても不思議な感覚でした。それにあの歌声ですから、豪華豪華です。
 お客さんというとほとんどが50代以上ではないかと思われるご婦人が大半。トイレもほとんどが女性用に変身する位で、私たち男性はとっても肩身が狭かったです。でもみなさん、もう120%、いや200%は楽しんでおられた様子。私にはそれを観るのも面白いって感じでした。パターンとしては、4人が交代交代に旋律をソロで歌い、そのうちに順次ハモリだし、最後に全員でハモりまくり、そのままの声で移調して気分を盛り上げ、最後には最低音から最高音までのアクートでガンガン音を伸ばして終わる・・・会場からため息が漏れ、それがそのままウォーっと言う歓声になり、大喝采となる、って流れです。
 私は元々長くオペラファンで、色々な歌手を聞いてきたものだから、初めてこの人たちのCDを聞かされた時、はっきり言ってちょっと俗物っぽい感があったんです。歌っている曲も“いかにも”系で、しかも出で立ちもあんな風だから、同性としては「どんなもんかな~」って感じです。でもコンサートで観ると、それはそれで面白かったです。実際に観てみて、どの人がどんな声で、どういうパートを受け持っているのだとわかったからです。CDで聞いていたら、スペイン人のカルロスがバリトンで張り上げて盛り上げて終わるのかと思っていたのですが、実際はアメリカ人のデーヴィッドが最高音で、しかも常にアクートで、CDの盛り上がりはこの人がやっていたんだなぁって気付きました。それにこのデーヴィッド、ソット・ヴォーチェもファルセットも綺麗に出すし、ポップス系の歌い方もするし、しかもなんと言ってもハモリは常にAよりか上の音じゃないかと思われる超高音を出しまくり、感心してしまいました。
 どれもこれも同じような編曲の曲だったので、最後の方は食傷気味だったけど、7時15分に始まって、途中20分の休憩があったもんの、終演9時45分と、外タレでここまでサービスしてもらって、本当に気分良く帰ってきました。明日からのエネルギーにも十分になりました。

タグ:Il Divo
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コルテオ シルク・ドゥ・ソレイユ Corteo --Cirque du Soleil [備忘録]

 初めてシルク・ドゥ・ソレイユを観てきました。評判が高いのは知っていたのですが、サーカスを見に行くと発想がなかったので、全くその機会がありませんでしたが、シルク・ドゥ・ソレイユの大のファンの友人カップルがチケットを取っていてくれて初経験となったわけです。
 真夏の一番暑い時間帯、京阪中之島駅からすぐかと思いきや、一番東端のエスカレータのない長い階段を登りつめたところにテントが見え、本当に中は涼しいのかなぁと思いながら入りました。エントランステントには色々なグッズが販売されていて、どれも値が張るのに驚きながらメインテントに移動。意外と小さくて舞台に近い感じが嬉しかったです。
 もうすぐ開演という時間になると、出演者が客席の通路を通って色々な挨拶程度のパーフォーマンスをしてくれます。これがまた楽しい余興で、筋肉もりもりの人、2メートルもあるんじゃないかと思う人、馬の着ぐるみ、お茶目なお嬢さんたちと、気分が盛り上がります。
 始まってみると、うぁー、本当におとぎ話を見ているかのような展開。贅沢な動く絵本という感じです。天井近くで行われる鉄棒のジャンプもすごいし、ジャンプ台を使ったペアのジャンプも面白い。ベッド型のトランポリンでの演技もとても華々しい。私がその中で一番気に入ったのは、男女のペアが上からつり下げられて縄に掴まって周りながら演技するものです。演技もすごいし、なんせ美しい!ため息ため息。複数の人たちが同時に行う鉄棒もすごい。
 考えてみれば、オリンピックなんかでは体操が好きで、いつもテレビに釘付けになって観ているのに、こうして生で観るのは初めて。目の前で行われている華やかな演技に息を呑まないはずがありません。

 本当に夢のような時間をすごさせてもらいました。
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有職料理 萬亀楼 [食べ物屋さん]

mankame1.jpg 以前から行ってみたいお店でしたが、値段も張ることだし少し敷居が高く、昔の同僚との久しぶりの食事会だったので、思い切って予約しました。結果的に言って大満足で、また清水の舞台から飛び降りる機会があれば行ってみたいです。

 さりげない門構えからは想像できませんが、さすがに京都の老舗料亭だけあって、玄関を上がってから部屋に辿り着くまでのアプローチが素晴らしいです。坪庭の横を通り過ぎてお部屋に通されると、そこはメインのお庭に面した茶室風の部屋でした。大人し目の、でも感じのよい着物を着たお姉さんたちがおもてなしをしてくださいます。誰に何を聞いてもみんなちゃんと知っておられ、お店に対するプライドの高さが伺えます。だから料理についても、お店についても、懐石のしきたりについても、本当に気軽に質問できたことがまず一番嬉しいことでした。

mankame2.jpg 料理はそれは本当に手の込んだ、それでいて高ぶることのない見てくれで食欲をそそります。ジュンサイとマスカットの酢の物など本当に変わった料理ですが、基本的には伝統料理、特に時期的にはもを中心にした料理が出されました。
 中でも一番視覚的に訴えたのが、蓮の葉の上に花びらを一枚一枚置いて、その上に色々な小盛りの料理を乗せたものです。食べてしまうのが勿体ないくらい綺麗で、味もさることながら、目を楽しませてくれる趣向に感謝です。 
 そのうちに庭で料理人がガサガサとピクニックベンチを持って歩いているな~と思っていると、うちの部屋のすぐ外側にも来てくださり、そこで鮎を焼いてくださる準備です。エアコンで部屋は閉め切っていますが、炭や笹の焦げる香ばしい香りが微かに入ってきて、これもまた次の料理に対する期待を高めてくれます。自家製の蓼酢につけて頭から骨ごとざっくりとおいしくいただきました。それも2匹ずつ。
mankame3.jpg 冬瓜の炊いたんもとても京都風味の味付けで大満足。刻み生姜の下にはなんとアワビの切り身も入っていて、これまた嬉しい逸品です。
 食事ははもの炊き込みご飯で、おつけものが水茄子。水茄子の葉っぱに乗せてです。デザートがその後2品、そして最後はおうすの接待で、本当に大満足です。

 途中、大女将と若女将がそれぞれ2回ずつ来てくださり、気さくに話して楽しませてくださいます。普通なら挨拶程度の会話しかないのに、いずれもしっかり会話を楽しませてくださいました。さりげなく素敵な着物で、一緒に行ったご婦人方はそれにうっとりされていました。
 値段は高かったけど、本当に行ってよかったです。
タグ:萬亀楼
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ショパン:ノクターン ルービンシュタイン(1965年録音) [クラシック音楽]

 夜に穏やかに仕事をしようとするとき、私のBGMは決まってこのルービンシュタインの弾くショパンのノクターンです。初めて聞いたのが高校2年生の時だから、もう30年は聞いていることになりますが、未だに飽きずに聞いています。
 ノクターンって弾く人によってかなり差が出てくるのですが、中でもこのルービンシュタインは、とってもあっさりと、かといって素っ気なかったり味がなかったりすることなく、少し枯れ気味の情感たっぷりです。ピリスやワイセンベルクとかも聞きましたが、どうもしっくり来ません。ポリーニも好きですが、やはりノクターンはルービンシュタインばかりになっています。
 1番から最高に切なく、しかも華やかで心に入り込んできます。2番も有名な曲だけに表現が難しいと思いますが、本当に感情を抑えた簡素な響きです。あれやこれや言い出すと切りがないくらいで、このCDだけで私の思いが一杯書けそうです。
 一度お試しあれ!

一番好きな14番、op.48-2です。↓
早めのテンポで、感傷的にならず、大袈裟に山場と捉えられがちが最後も、本当にあっさりと過ごすところが余計に悲しく響きます。
https://youtu.be/kkVD7TSIdX8

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