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ヴェルディ「ドン・カルロ」 カラヤン指揮 DVD [オペラ]

don carlo dvd.jpg HMVで申し込んでいたのが今日届きました。前から欲しかったのだけど、ちょっと高めだったし、エリザベッタが知らないソプラノだったので買い控えていました。カラヤンの遺産シリーズで安くなったので、そそくさと買うことにしました。
 このオペラ、とっても好きなオペラで、初めて買ったのがサンティーニがスカラ座を振ったLPで、もう20年以上前の話しです。それからずっとそれを聞いていましたが、働きだしてカラヤン盤のCDを購入しましたが、4幕版があまり気に入らず、聞いていませんでした。ビデオになって、レヴァイン盤、パッパーノ盤、ムーティ盤と見ましたが、どれも一長一短なのだけど、どれもそれなりにとても気に入っていました。しかし最初に聞いたサンティーニ盤が私のこのオペラの原体験となっているので、どうしてもそれを中心に聞き比べてしまいます。
 結果的にこのカラヤンの映像盤は、凄い!と思う反面、これじゃなぁ、と思うところが混ざっているものです。
 まずいいところは、カレーラスとカップッチルリの凄さです。歌も大満足だし、なんせ2人とも容姿が本当にいい。この暗くって硬いオペラに本当に良くあっていると思います。時々カップッチルリはカラヤンのテンポでは遅すぎて歌いにくそうにしているところもありますが、それもご愛敬。っと、バルツァの入念の歌唱です。これは劇としては凄いの一言ですが、歌で言うと少し歌いすぎなところもあり、曲によっては好き嫌いが出てしまいます。フィリッポと大審問官のくだりも感動しました。
 残念なところはカットの多さです。これは単にサンティーニ盤、レヴァイン映像盤、パッパーノ映像盤と、いずれも版は違っても取りあえず5幕版で、それに長く慣れていたので若干違和感があるからという感じでしょうか。「ヴェールの歌」の2番がカットされていたり、特に終幕のエリザベッタのアリアや二重唱の中間部、またフィリッポが登場する辺りのカットには驚きました。それと動きの悪さ(というか演出の物足りなさ)です。オラトリオや宗教曲ではないので、これはないだろうって感じですし、それに輪をかけるようにカメラワークがまずい!特に終幕の幕切れで舞台上に3人しかいない(そんなはずがない!)というのは、ちょっと納得いきません。
 
 とは言うものの、この時代って本当に凄い歌手が多かったんだなぁって実感します。今はベルカント・オペラ最盛期で、そちらにいい歌手が多いので、それはそれでいいとは思いますが、やっぱり立派なヴェルディ歌いがいればなぁっと言う感じです。

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兵庫県立芸術センター 佐渡裕指揮「カルメン」 [オペラ]

09 carmen.jpg 大好きな佐渡さんのカルメンに行ってきました。

 佐渡さんのオペラは蝶々さん、魔笛、メリー・ウィドウと4回目です。12,000円で最前列で観られるし、毎回日本の演奏家も捨てたもんじゃないって実感できて嬉しいです。特に毎回合唱の質がいいのが一番の収穫です。

 さて今回のカルメン、ここで連続9公演の最終日でした。主役が外人さんで固められた日と日本人だけで固められた日とあったのですが、日程の関係で私は外人さんの日でした。本当はテナーの佐野成宏さんの歌が聴きたかったし、林美智子さんのカルメンにも興味があったのですが、背に腹は替えられないってことでこちらになりました。
 歌手の中ではエスカミーリョ役の人(Jean-Francois Lapoite)の声が一番気に入りました。ちょっと声量が落ちるのか舞台の歌い位置が悪いのか、一番の見せ所「闘牛士の歌」のコンチェルタートで声が合唱にかき消され気味だったのは残念でした。主役4人の中で唯一日本人のミカエラ木下美穂子さんはとってもよく健闘していて好感が持てました。 
 カルメンもドン・ホセも3幕以降でグイグイ実力を見せてくれた感じです。特にドン・ホセ役のフランス人(Luca Lombardo)、「若い将校」にしてはメタボでお疲れ気味に見える立ち姿が残念でしたが、聞かせどころもそつなく巧くこなし、職人芸を見せてくれていました。花の歌も良かったです。カルメン(Stella Grigorian)はメゾの主役としては、もう少し中低音をしっかり出して欲しいかなという感じでしたが、見た目の豊満さはこの役にピッタリでした。
 演出はごくオーソドックスな出来だったと思います。細かいところまで動きが考えられていて、とても興味深く思いました。特に4幕の幕切れのデュエットは合唱と主役の2人の対比とその2人の立ち姿の美しさがとっても印象的でした。ただ1幕2幕連続、3幕4幕連続は実際少し長く、ちょっと疲れてしまいました。
 気に入らなかったところは、前奏曲後半でドン・ホセの死刑の場と2幕冒頭のジプシーの歌をホセの妄想に変えた場面です。どちらも気持ちは分かるのですが、劇の流れとしては少しもたついいて、本当に蛇足だったと思います。特にジプシーの歌は、後に続く酒場の場面への場面転換のために、2番以降を管弦楽だけでもう一度リピートし、こちらの緊張と期待感を一気に削ぐようなところがあったので、少し興醒めしてしまいました。

 終演後はお決まりのサイン会で、買っておいたTシャツにサインをしてもらい、握手と写真撮影です。佐渡さんって本当に気さくでサービス精神のある人で、とっても嬉しかったです。

 色々と書きましたが、全体としてはとっても満足な一日でした。
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シラグーザ ランカトーレ デュオ・リサイタル [オペラ]

07 siragusa.jpg 西梅田のサンケイ・ブリーゼ・ホールでアントニーノ・シラグーザ(Antonino Siragusa, tenor)とデジレ・ランカトーレ(Desiree Rancatore, soprano)のデュオ・リサイタルを観に行ってきました。
 元々のお目当てはシラグーザで、昨年5月のロッシーニ「シンデレラ」を観てからのファンでした。その後、この人は日本贔屓で、頻繁に来日してはコンサートやオペラに出ていることを知り、今回のリサイタルも観にくることとなりました。11月のこのブリーゼ・ホールのこけら落とし公演でカレーラスの次の日にエヴァ・メイ(Eva Mei)とデュオ・リサイタルが本当に良かったものだから、楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。

 最初はランカトーレが歌い出しです。ランカトーレも最近よく来日してオペラに出ている人だけど、聞くのは今回が初めてです。体がまだ温まっていないのか、フレーズの中程から終わりにかけてはとっても豊かな声が出ているのだけれど、歌い出しが薄っぺらい地声で、それが最初のうちはえらく耳につきました。でもそれも曲を重ねるに連れて、気にならないくらいバランスの取れた声になってきてました。
 極めつけは休憩を挟んでからのルチーアです。高音の冴えも、豊かな中音のアジリタも、あぁ、なんて極上の霜降り肉を口に含んでいるかのようなまったり感。これぞベルカントという感じ。声量はたっぷりという感じではありませんが、よく響いた声がなんとも言えません。

 勿論シラグーザも負けてはいません。こういったリサイタルの処し方はもう慣れおられるようで、客あしらいがとっても巧い。どうすれば客が喜ぶかってよく知っている感じ。やはり後半の歌が響きもよくなっていてきにいりました。アルジェのイタリア女のアリアのアジリタの素晴らしさ。あぁ、生きていて良かったって感じです。エンディングにかけて、最終の高音に向かう上昇音型がちょっと焦り気味で残念でしたが、テクニックの冴えが伺えました。

 高音を出せばbravo, brava, braviと叫びまくる聴衆には少し辟易したものの、今回も120%は満足して帰ってきました。

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ヘンデル・イヤー [オペラ]

 2008年がプッチーニ生誕150年、2009年はヘンデル没後250年、ハイドン没後200年、メンデルスゾーン生誕200年と、作曲家の記念年(=レコード会社の売り込み強化年間)が続いています。すぐにそんなキャンペーンに乗せられてしまう私ですが、その中でもヘンデル・イヤーは大きな収穫があったかも知れません。
 もともとロマン主義オペラ、特にヴェルディとプッチーニを中心に聴いている私ですから、バロックを聞くだなんてほど遠いわけで、特にバッハやらヘンデルというのは一番敬遠していた部類の作曲家でした。でもレコ芸の張ったキャンペーンには見事乗せられました。ロッシーニ・リバイバルで喉を鍛えた歌手たちの格好の技術披露の場として、ヘンデルのオペラがとりあげられていたからです。

03a haendel.jpg 中でも一番興味を持ったのはマリリン・ホーンのアリア集です。もともとホーンは苦手な歌手の一人。日本の批評家たちがあまりホーンを好きでなかったこともあり、私もホーンでお気に入りと言うと、メト100周年記念ガラのビデオで歌っていた「サムソンとデリラ」のアリアのみ。でもレコ芸の批評家の人は絶賛で、買ってみることにしました。
 うぉー、凄い。レビューに書いてある通りです。トランペットの序奏に相まってホーンのコロラトゥーラが炸裂です。声も強靱で、伴奏のオケを突き通して聞こえてきます。この1曲で買って良かったと思いました。「オンブラ・マイ・フ」やら「涙の流れるままに」など、有名な朗々としたアリアも凄みはあるのですが、やはりホーンの凄さは早いパッセージを上へ下へと駆けめぐるコロラトゥーラに尽きると思います。批評家のみなさんが「下品!」と曰う低音の胸声も私にはゾクゾクと響きます。もっと聞き込んで、ちょっとはヘンデルを勉強せねばと思っています。

03b haendel.jpg コジェナーのヘンデル・アリア集は、これもまた大胆な声で、美しく、時には滑稽に、時には情熱的に歌い込んでくれます。録音が新しい分、きつい音が少なくて、耳ざわりというとホーンよりこちらの方がいいです。何せコジェナーを買うのも初めてです。私が聞いていたのとは違う分野の声の人なので、やっぱりこれから聞き込んで勉強する必要があります。

03c haendel.jpg ボストリッジも初めて聞く歌手ですが、ヘンデル・アリア集でいっぺんに買った3枚のアリア集の中では一番おとなしいアルバムです。高貴な声も先の2人のメッゾとは大分違った趣です。この人はロマン主義のオペラなどは歌わないようなので、もし続けて聞こうと思うとシューベルとなどのリートになってしまいますが、もう私の中で飽和状態のリートのCDをこれから続けて買うかというと、まっそれはないだろうと思うので、これが私にとって最初で最後のアルバムになりそうです。

 いずれも私には驚きの連続でした。折角のヘンデル・イヤー、ちと腰を落ち着け聞いてみるのもいいかなぁ。





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